にげろばくはつするぞ



                                                                 


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 『カレーライス・2』 【おかわり】  2017 6.7×5cm (ボールペン)



 ☆ 「カレーライス・2」は3点の絵をひとつの額に収める初めての試みで、上の2点で比較的大きめのメインの作品
   を挟むスタイルにしようと思っている。
   
   鉛筆作品とは違い、ボールペンの場合、描き損じは絶対に許されないので緊張と集中を要す。
   まして、この作品はマッチ箱ほどの小ささゆえ手が震える時も多々あり、根気の無い自分としては長時間の作業
   ができず、日にちばかりが経つ一方だ。 いちばん捗るのは酒を飲み終え、寝る前の作業時間。
   この時間は酩酊状態のリラックスによって、なめらかに線を引くことができる。

 
  


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                『ゴールデューム駅』  (2017)  30cm×30cm (鉛筆)

☆  未だ共感してくれるひとがいない「ソファ、クッション」に対するエロス的偏愛を描き続けている。
   今作は小説に登場する鉄道内でのワンシーンで、まだ制作途中なのだが、角型のクッションが暴力的に
   犯されている、という様をもっと過激な表現で描き込めればと考えている。




   

4月12日 (水)

半年ぶりくらいかな?
Kと沖縄へ行った。夕方5時くらいだったか、そんな時間の飛行機に乗って。
羽田に着いて、出発までの1時間弱のあいだ、イートインのある売店でKはちいさなおにぎりセット(3つ入り)
を買い、離発着する飛行機が良く見える大きな窓際のカウンターに座って俺はビールを飲んだ。

しかし、今回の行きの飛行機は随分と揺れたなあ。
そして眼下に街並みが見える時はよいが、果てまで真っ白な雲海が続くと不安を強く感じるのはいつものこと。

那覇に到着したのはすっかり暗くなった8時頃だったろうか。意外な肌寒さだ。

夜は「東大」というおかしな名のおでん屋にゆくのが今回の目的のひとつだった。
だがシャッターが下りている。
「貼り紙」を見ると9時半オープン。ええ?

話しは飛ばし、果たして9時半。
店内はあっというまに満卓になった。
カウンター4席に座敷には5つの卓で座布団は無い。なぜ無いのかはKの説明により納得。

オリオンの生ビールがこんなにも旨いとはね。
島らっきょう、豆腐蓉、ゴーヤの黒糖酢漬け、いずれも味蕾の目覚める旨さに驚いた。
おでんは大根、玉子、野菜、こんにゃくなどが大皿で来た。ここはひとつのタネが大きい。
良く煮込まれているものの、煮崩れせずのしっかりとした大根は湯島の「K」より旨いだろう。
「東大」は関東の味に近い。「K」は関西の味だから比較は愚かしいのだが・・。
泡盛は「咲元」と「国華」。
あればいいなあ、と思った「どなん」「カリー春雨」「ニコニコ太郎」は無く、残念。
(深夜、ひとりで再び訪れたときは豆腐、を頼んだのだが、まあ、その旨さは何にもたとえようがない)

翌日は「制作」のため、Kは別行動をし、俺は佐喜眞美術館へゆくため宜野湾へとバスで向かった。
天気は上々。乗客も殆どいないバスの最後尾を占める。
40分ほどバスに揺られた頃、電話がある。つつがなく制作を終えたKからだった。
美術館で落ち合うことになった。


佐喜眞美術館。
一見、気の利いた豪奢な個人宅にも見えるこの美術館。
ここは大好きな美術館だ。展示というよりはこの美術館を味わうための再訪だった。
無人のカフェでコーヒーを飲む。
誰もいないことを良いことに寝転ぶKを挟んだ大きな窓からは、ゲートボールをする地元の人々が芝生にいた。
そしてのどかで広い空。

首里に戻り、ゆいレールに乗る。(現在、那覇↔首里間のこのモノレールは、首里の先へと延伸工事の最中)
始発なので先頭座席に座れた。良い眺めだ。








中上

☆ 中上健次は初期小説と「異族」くらいしか読んだことがないのだが、この人の存在感とひととなりにいつも興味
   があった。
   この「エレクトラ」はもう、ひとつのドラマと言ってもいいだろう。凄絶なまでの小説構築への熱情と、非凡かつ
   旺盛な作家魂というものを改めて思い知らされた。他の作家は知らないが、書かずには生きておれない、宿命的
   な小説家だったのだなあ。
   殆ど一息で読み終えてしまったという、昨今、稀な読書体験を味わった一冊。




ライアン

☆ いつの日か忘れたが、ひどく落ち込んだ時があった。近頃だ。
  不安に苛まれた時に部屋に流して救われたのがライアン・フランチェスコーニのこの一枚。
  ギター・ソロなのだが、奏でられる「間」が絶妙なギターだ。
  音楽家ではないのでうまく説明はできないが、呼吸がとても楽になる。
  (無論、だからとはいえ、その時の辛さが全て解消されたわけではないが・・・)




サルトル

☆ 横積みになってる本やらCDなどの書架整理をしていたところ、懐かしい本が出てきたので久しぶりに読み返している。
   おもしろい。
   ロカンタンを取り巻く生活描写や日常体験などが、茫洋とした非現実的なものに感じられ(当時、自分はそう
   読み進めていた。)そこここに飲食物の描写が散りばめられているところなども非常に興味深く楽しい。
   「存在」とか「本質」とか「神」とかは考えずに読んでいた。
   というよりそれらを考える頭は今もって無いのだが。

   妖しい狂気すら感じるこの小説はバタイユよりもエロティックかつ夢幻的だな。
   しかし、ノーベル賞を辞退するとは・・・、すごいね。



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それもかねてみんなみにきてっかんね。


2016年


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      ☆ アトリエサード刊 『エクストラート』に連載中【toru-nishimaki selection 005】
       はドイツのフォトグラファー、ヴィクトリア・ソロチンスキー。




〇 札幌の個展、図書館、美術館、画廊、そして随分友人、知人に会った。
  中でも図書館にゆく、という習慣というか、齢52にして今更ながら図書館の魅力に開眼したというか・・。
  日記手帳をざっと斜め読みし、簡単な記録抜粋で2016年のブログを締めくくろうと思う。

〇 今までにない大敗を喫した札幌での屈辱は来年2月神保町の画廊での失地回復を誓い、ここでは触れない。
  しかし、久々の北海道は実に楽しかった。
  全体的に2016は連載記事(アトリエサード刊『エクストラート』)の好感触やフランス、エノルマTVへの出演、そして企画展の
  決定など、いくつかの芽は吹いた(小さなことではあるが)。

〇 具体的ではないけれど朧ながらのイメージがある。
  2017年は作品集を制作する予定。
  






● 10月26日 (水)

ケロッピー前田さんとは何年の付き合いになるだろう。阿佐ヶ谷のトークショーで酔ってやじを飛ばしたのがはじめだが
お互い、個展に行き来し、呑み、先日は池袋で開かれた国際的規模である『ミネラルショー』に誘ってもらい会場を歩いた。
そんな前田さんから電話があったのがいつかは忘れた。
経緯は(このこともすっかり忘れていた)3年も前だろうか、随分世話になったフランスのジャーナリストであるアニエス・ジアール
に長いインタビューを受けたものが本国でつい先頃出版されたそうなのだが、それをエノルマのスタッフが読んで俺に会いたい
と言ったことからだった。


エノルマ


駅まで迎えにゆくとまず飲むことになりスーパーへ買い物。
選んだ肴はすべて刺身だ。
鮪、イカ、帆立、しめ鯖・・、と、俺はここで大好物である鯨刺しを発見。
しかし「問題を複雑化するのはやめましょう」と前田さんに言われ笑った。
そうね。鯨だもんな。

帰宅し収録に先立って軽い酒宴が始まると、フランス人ふたりの箸遣いのうまさに驚く。
生魚が大好物というのにもっと驚く。


撮影


数時間を経たのち、収録を終えての記念撮影。
フランスでは12月22日に放映された。



● 12月6日 (火)


府中市美術館へ「藤田嗣治展」を観にゆく。
車で狭山湖、多摩湖を抜ける道は細くしかも急角度で蛇行するので楽ではないが楽しい。
初めて訪れるこの美術館は特筆すべき点は無かった。
しかし、出展作は揃いも良く、九段下の近代美術館のものより面白かった。
図録を買う。

帰宅し、深夜借りておいた映画を観る。
『ライフ・オブ・パイ』
こういった極限ものは大好きだ。


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☆ 『ライフ・オブ・パイ』
   ディズニー的な単純感動ものと思いきや、予想外の奥深さと謎を残す佳作だった。
   まさかこの映画がきっかけで『ポオ』を読むことになるとは。


● 12月14日 (水)


1年ぶりくらいかな。
HPNの会は神保町で。
やはりこの3人会は特別な面白さがある。
醸される雰囲気がいい。
料理は手羽先唐揚げ、鶏と冬野菜の南蛮漬け、鶏天、明太蓮根そして水炊きを。
Kのおみやげの手羽先を買う。
揚げたても旨いが冷めてもこれならば旨いだろうと思い、10本を包んでもらった。



● 12月18日 (日)


最終日ということもありチケット売り場から混み合う行列の「ゴッホとゴーギャン展」は東京都美術館。
思った通りゴーギャンの絵には何の感興もなく殆ど素通りする。
そんな中アドルフ・モンティセリという画家を初めて知る。
ゴッホに因みが深いと言われるこの素晴らしい作家を知ることが出来たのは今展最大の収穫と言えよう。
その異様とも見える厚塗りの技法と暗い色使いに圧倒された。

観覧を終え、浅草へ着いたのはとっぷりと暮れた頃合いだった。
鴨料理と蕎麦の店「つるぎ」は以前より訪れてみたかった浅草の料理屋のひとつなのだが期待を裏切らない
良店であった。
日曜ということもあり、切らした献立が幾つかあったのは仕方がなくそれでも明太子、天婦羅、白うるか
そして鴨しゃぶと頼んだ献立すべてが旨い。蕎麦も無論。

久しぶりのアンヂェラスではやはり梅ダッチコーヒーそしてサヴァラン。
バスで池袋へ帰る。浅草↔池袋間のこの路線は好きだ。



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☆ 「おまつり」「空の雲」なんて素晴らしい詩だろうか。
  聴き込めば聴き込むほどに味わい深い。






● 12月26日 (月)


雑司ヶ谷のピス賢の家にゆくのは何か月ぶりだろうか。
これもご無沙汰の「鬼門会」は今回特別の編成となる。
ピス賢、小峰、光村(友人の写真家)、Kとその友達のD、兵庫(ピス賢の隣人で漫画家)の7人。

Kと西武地下で鶏皮ポン酢、蒲鉾、鯖の燻製、手毬寿司、棒餃子など料理をいくつか買い求め、鬼子母神で光村と落ち合う。
後、曽根宅へ向かう。
狭い六畳一間にひしめき合い、酒を飲み料理を食べながらの談論風発はいいが、ひとが多いとやはり
話しは跳ぶ。
兵庫君がつくってくれた肉じゃががなかなかに旨い。


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☆ ピス賢のシングル小説集の第2弾。
  彼は文章巧者だが正直ブログのほうがおもしろい。
  まあ、これは仕方のないことだろうと思った。



● 12月28日 (水)


長年世話になっている三軒茶屋の画廊『ガルリ・アッシュ』の忘年会が終わり参加者は画廊の壁面に最後のサインをした。
その時の仕上げがしたく、kと共に三軒茶屋へゆく。
これほど大きな壁面画は初めて。
1時間休みなく描く。
鉛筆画的に細部まで、と思ったが無理。
全体的に黒くなっただけだ。ほどほどで終える。
そのあと重富さんのお誘いで3人での忘年会はイアリアと中国、ふたつの国だけの料理がある風変りな店。
しかし旨い。
その後、バーに連れていってもらいズブロッカを飲む。
すっかり御馳走になり帰路につく。


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● 12月30(金)


神保町にゆく。
今年最後の飲み会はアトリエサードの編集長・鈴木夫妻とKとの四人会。
場所は先日HPNで、思いのほかの収穫のあった九州料理の店で。
手羽唐揚げ、馬刺し各種、しゃぶしゃぶなど、締めは雑炊。焼酎は四合壜を二本あけた。

結局前回同様、カラオケとなり始発まで歌う。
住まいの駅に帰り着くと空腹でマックで食べタクシーで帰宅。






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☆ ただ今、平行して読んでる本。
   「極北」は中でも際立った面白さ。



2016年 西牧徹展 『果樹園の狩猟のための9つの小品』



◎ 空はようやく晴れ、海の壮大さに呆ける中オリオンビールは冷たい。
見たことが無かったな。これほどまでにすばらしい海って。
「ここに棲んだら絵なんか描かなくなるだろうな」
生涯訪れることはないだろうと思っていた初めての沖縄にこれほど陶酔するとは思わなかった。

9月の旅行を堪能できたのは故郷を愛するKの綿密なスケジュールのおかげだった。
俺は小学生の頃、楽しい夏休み旅行から帰ると小規模なノイローゼ状態に陥ったことしばしば
なのだが何十年ぶりだろうか。
それが来た。(今は治まったが)

◎ さて、細かな日記は手帳にとどめ、ここでは11月の個展のこと。
N氏がお膳立てしてくれたこの度の個展は、札幌にある「ギャラリー犬養」で開催いたします。
展示を終えたら次の個展からはスタイルを変え、新しい世界観の作品を作って行こうと考えている。



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遊園地           

☆ CGによる実験的旧作ではあるけれど展示をしたことがなかったこの作品も展示の予定。
  今後はCGによる制作は考えられない。




◎ 今年2月に訪れた時は残雪に埋もれ凍て着く、だだ広い一軒の古民家であり、無人の暗さも相俟って
迷宮が如くに感じ、ここで展示をする・・、ということが実感できなかった。
しかし、気がつけばもう来月だ。

◎ 『果樹園の狩猟のための9つの小品』という副題は、現代音楽タイトル風に気取ってみた。
「現代音楽」と言えば何十年前になるかな。
随分と『現代の音楽』 (NHKーFM) を録音した。
今もそのテープが (放送分にして10回くらいだろうか) あるのだけれど、今聴いて実に鮮烈に感じる。
また、この番組、上浪渡さんの独特な語り口を味わうために楽しみにしていたと言っても良いくらいだ。

◎ 時は同じくして80年代半ば。
自分の絵の方向性に煩悶していた頃、西武百貨店内にあった「アールヴィバン」 (池袋店の12階。今は無い)
は無知な俺にとっての言わば羅針盤であり、啓蒙の聖地と言えた。

内外の画集、美術書、そして区分けされた小さなスペースには現代音楽、前衛音楽のレコードに加え
名も知らぬ音楽集団やアマチュア・アーティスト達のカセットテープのコーナーもあった。
そのレコード、テープ、ほとんど全てと言ってもいいほど知らない俺にとっては未だ見ぬ宝石の如くに見え
美しくも奇妙なそれらに強く惹かれた。

ジャズ、ノイズ、インダストリアル、パンク、エレクトロニック・ミュージックそして詩の朗読・・・。
テープのスリーブも紙製、ビニール製、はたまた布袋入りと、各々の熱意と個性が強く感じられる。
そう、身銭を切っての芸術表現のその熱い意気は、ほんの小さなそのコーナーをまさに輝かせていた。


店は静かでいつも客はあまりおらず、奥のカウンターにはいつもTさんが居た。(20代後半か30代前半だったろうか)
理知的な顔立ちに、良く手入れされた髪と髭そしてシルバーフレームの細身の眼鏡がよく似合っていた。
Tさんは、望めば躊躇なくレコードのラップを切り、新品の盤をプレーヤーに乗せ針をおとしてくれた。
買う日もあったが3.4枚聴かせてもらいながら買わぬ日もそうとうあったと記憶している。

自身が音楽家でもあるTさんなのだが、ここには彼自身の手掛けたテープも置いてあった。
ギター、ベース、ソプラノ・サックスなど幾つもの楽器を駆使する、彼の奇妙な作品集を今も俺は大切に持っている。



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 ☆ 「HATAGО-YA」 というのがTさんのアーティスト名だった。
   この美しいデザインワークも御本人の手によるもので
   ギター、ベース、ウッドフルートそしてリズムボックスからなる
   シンプルな構成による奇妙な、だが今もってスタイリッシュ
   なこの音楽は何と表現すれば的確だろうか。

   うねるベースは重くダークで、そこに歩みのようなリズムが
   ゆっくりまつわりつく・・・。
   ジャズ、民族音楽、現代音楽を扱う店で働くTさんの詩的前衛室内楽
   とでも言おうか。
   深海魚音楽、暗室音楽・・・。
   いや、言葉足らないだろう。




ノルゲ

☆ 佐伯一麦の本は今まで書店で手にとっても食指が動かなかったけれど
  2015年に文芸文庫に新しく入ったこの「ノルゲ」を手に取ったのがつい先日だった。
  面白い私小説だ! が、どう面白いかは説明が難しい。が、面白い。
  楽しみに読んでいる。






◎ 今週のこと。


刷り上がったDMを各地に郵送したり、配布したり。
作品の完成も急ぐ。
来年制作予定の本のため各種作業をする。
その合間、酒はやはり欠かせず。
近頃細々つくったもの。以下。


・ 温度調整を忘れた冷蔵庫で水菜は凍てつき、葉は使い物にならない。
  その葉だけ落として納豆と和える。醤油、いりこだし、レモン汁で。
  5cmほどと、長めに切った水菜を蕎麦のようにすすると旨い。

・ 立ち読みした料理の本から。
  いんげんをゆで、2,3センチほどに切って明太子と和える。
  ここに醤油を2,3滴おとすと香ばしくなり一層良いようだ。

・ ひどい店に入っちゃったなあ。と思ったが料理はなかなかにおいしいのだった。
  西池袋のイタリアンバル。
  ここで教えてもらったもの。
  クリームチーズとピザソースを練り合わせる。
  そして玉ねぎとピクルスを細かく刻んだものを混ぜ込むのだが、これが網焼きした
  バゲット (食パンでもいいだろう)、クラッカーに塗って食べる。
  旨い。
  ワインやウイスキーのソーダ割りにとても良く合う。

・ 大根のステーキをつくった。
  コンソメ、砂糖、胡麻油少々とにんにく醤油でよく煮含めた大根を引き上げ、水分をとばす。
  ラード、バターで表面を焼く。(フライパンで)
  付け合わせはクレソン。

・ 蓮根と水菜、ツナのサラダ。
  マヨネーズ、レモン汁、サラダオイル、黒胡椒、砂糖、パセリでドレッシングも。

・ 海老とチンゲン菜を使い、クリームソースをつくり、クリームパスタ。

・ アスパラガスとマッシュルームの炒め物。
  薄切りの大蒜をたっぷり入れる。

・ パンケーキを焼いたりスクランブルエッグはKがつくってくれたが焼きたてのパンケーキは
  どれくらいぶりだろうか。実に旨い。

・ ゆうべ(10月17日)はひさしぶりにカボチャを買い、ポタージュをつくった。


 
 

メラニー

☆ 少し前。
   アマゾンでは在庫が無く、タワーレコードに問い合わせたら新宿店にあった。
   アナログシンセのほどよく絡み、影に沈み込んだような雰囲気が素敵だ。
   深夜良く合うジャズ。




カレーライス / おはぎ / うなぎ



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          『カレーライス』 (2016)  8×25cm
 
☆  ボールペンによる3作目 『カレーライス』 の一部分。
   同サイズのもう1点と共に、ワンフレームに収めて展示する予定。
   (場所は未定)




◯ 目黒の、初めて聞く名の画廊からグループ展の誘いがあった。
  こういった誘いは多々あり、言葉巧みに誉めそやし、とどのつまりは安くはない参加費を要求してくるのが大多数なのだが
  ここは送料自己負担のみ。
  作品を気に入ってもらえての誘いは嬉しくもあり 参加を決める。
  ただ、出展作品の調整に迷う。
  11月、札幌の個展のため未発表の新作は数点あるが、その殆どが過激な艶画であるうえ、小品なのだ。
  制作途中の「スフィンクス」が間に合えばいいのだけれど。





baraのコピー








4月8日 (金)

自衛隊基地に隣接するかたちでおおきな公園がある。
普段眺め通り過ぎていただけの、その公園に行ってきた。
芝地を覆いかける桜の木々の下に花見客は個々陣取り、その数は決して少なくはなく、でも、あれっと思ったのは
花見って皆こんなに静かだっけ?
誰も浮かれ騒いではいないけれど皆楽しそうに弁当を囲み、バドミントンに興じ・・、寝、喧噪も無く、ごみ一つとて落ちていない。

 夜になり花見客は散り、芝と桜の広場には殆ど人影はない。
基地反対側はうっそうとした木々に囲まれた遊歩道で、程よい街灯にベンチが照らし出されている。
そんな暗い木立ちから音楽が聞こえ、我々は興味をそそられた。
木々の向こうは見下ろす街の灯がきらめいている。
誰かがヴァイオリンを奏でていた。

 この日は他に蕎麦屋(夕方時だったためか客はおらず、贅沢にも囲炉裏端の席をしめることができた)
レストラン(ここのステーキは旨そうだ)そしてまさかあるとは思わなかったのがプラネタリウム。
児童館の中にそのプラネタリウムはあるのだが、幅広の螺旋状階段をのぼると、開け放たれた入口からドーム天井と
プラネタリウムが目に飛び込んできた。
無人。星空も無論投影されてはいない。
後日是非観にゆこうと思う。


プラ



5月15日 (日)

近頃の初夏のような暑さが引き、少々肌寒ささえ感じる今日。
昨日ささいなことで切った包丁での傷を見る。薬指。
腹が減ったので近所のコンビニへ行ったのが昼前か。
ハムとチーズのサンドイッチひとつ。こんなことはめずらしいことだ。
コーヒーを淹れ簡単な昼食とする。

 7月、11月と展覧会を控え制作、遅れ気味の進行だが無理はしない。できないし。
先日画材屋で買い求めたステッドラーの新商品である鉛筆の鉛筆以上の黒味が気に入り、調子は良い。
7月、目黒の展示はひとり150×100の壁面を与えられている。
まだ訪れたことのない画廊だが見た限り(ギャラリーのサイトで)真っ白な印象のそこは天井高く、広く、小品複数より
大作がよさそうだ・・、といっても俺のはたかが知れているが、、、。
「スフィンクス」100×80を出展することにする。

 今、派手で過激な直截的エロスを描きたい反面、アーリング・ヴァルティルソンのような肖像、それも奇妙な、レオノール・フィニ
の女性像、それも奇妙な、そういった作品を描き出してみたいとも考えている。

 3時間ほど制作をし、Kと家を出る。
芝の公園を抜けてゆくと一軒家のレストラン。この店にくるのはひと月ぶり。
今日ここで「ベリーレア」という焼き方を初めて知り、調べてみるとおおかた3種類であろうと思いがちな焼き方(ステーキの)
が6種類もあることと、単純な料理の繊細な奥行に驚く。
その後ビリヤードを1時間ほどし、帰宅。
ハイボールを飲みながら制作1時間ほど。




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☆  岡本かの子に次いで好きな尾崎翠の作品集が岩波文庫より2014年に刊行された。
   今は無き創樹社からのハードカバー本を愛読していたのだけれど、収録作品も違い
   読みやすいこともあり文庫も買い求めた。
  
   表題作もさることながら 『歩行』 『地下室アントンの一夜』 この二つ。
   少々奇妙な短編は、物語作法として一つの髄に達しているようにも感ずる。
   重箱にきれいに詰められたおはぎ。
   小豆の皮がところどころに輝く、まるまるとしたおはぎが目に見えるようだ。
   



5月16日 (月)

手元に置いておけば、なかなか終わりの見えない加筆をしてしまうのだが、描き込めば確実に充実してゆくその手応えは
一種の快感である。
かなり前の作品ではあるが「フェニックスの羅針盤」という作品に今大幅に手直しと加筆をほどこしている最中。

 ポップコーンをつくる。
小鍋に乾燥のトウモロコシを入れ、サラダ油、塩、化学調味料そしてバターを入れ、火にかけ揺するのだが、蓋をした小鍋
の中で弾ける音と手応えはなかなか小気味良い。
こりゃあ、んまい。

 夕食にKがゴーヤチャンプルをつくってくれたのだが、塩加減も良く存外旨い。
ゴーヤ、もやし、人参、木綿豆腐そしてスパム。香気の漂う湯気たつフライパンから白い深皿に盛ると彩りも良い。
へえ~、スパムを入れてつくるゴーヤチャンプルってこんなにおいしいのか・・。



5月21日 (土)


かぼちゃのポタージュをつくった。
鍋でかぼちゃを煮、マッシュポテトの要領ですり鉢でつぶす。
生クリーム、牛乳で伸ばし、コンソメを溶かした湯の入った鍋に、網で裏ごししてなめらかにしたその「かぼちゃクリーム」を入れる。

で、煮る。
これはいい出来だ。かぼちゃの自然の甘味が生きた手作りのスープは濃厚で実にうまく我ながら感心する。

 アトリエサード刊 『エクストラート』の連載記事を書く。
来月半ば頃発売のこの号で紹介するのはアメリカの画家。
まだ3回めで言うのも変だが、いちばんの気になる画家と言えばこのひとだろう・・、と思うくらいのアーティストだ。




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☆ アイスランドの女性アーティストであるソーレイ。
  このひとはピアニストなのだが、本作ではピアノは奥に姿を潜め
  展開される曲はまさにこのジャケットの如し、ダークでメランコリックなものが殆ど。
  クローネンバーグの映画音楽の担当である、ハワード・ショアのような
  静かに闇から湧き出るような不気味なシンセサイザーが印象的な一枚。




5月22日 (日)

トマト缶とトマトジュースの残りをもとにポモドーロをつくる。
そしてスープ。
ポルチーノはだいたいがクリームスープなので、あえてコンソメスープをつくった。
今日は疲れた。
昼はいつものサイクリングコースを散歩したのだが、気温が高いなか7キロ近く歩いたので疲れた。
しかし、舗装された細い堤、川面を眺めながらの気分は良い。
しかし、手作り感芬々たるカフェにも疲れた。
それはないでしょ、というカフェに疲れた。
でも散歩途中で食べたマックのハンバーガーはおいしかったな。


5月23日 (月)

ピーマンの肉詰めをつくった。
これは何年ぶりだろうか。
しかし、どうやらおいしく仕上がった。

 このところの気候で糠床の発酵が早い。塩と糠味噌辛子そして足し糠をする。
毎晩の酒の肴には糠漬けは欠かすことのできないものだ。
一時期中断していた床を、陶器の壺からホーロー引きの白の容器にして2年。
以前より漬け易くなったので世話も苦ではなくなった。
しかし、漬けるのはもっぱら胡瓜、大根、蕪、白菜、キャベツ、人参といったところで、じゃが芋とかアスパラとかピーマン
などは一切漬けなくなった。

 先日の昼、胡瓜の古漬けを刻み、塩昆布とともに入れ、焼き飯をつくった。
いちにち取り出さず、2日もすればたちどころに極上の古漬けになるこの季節。
それは酸味も塩味もかなり強くなり、焼き飯にはうってつけのものとなる。
細かく刻み、冷えたご飯とともに熱したフライパンに投じる。
そこに化学調味料少々と塩昆布、白胡麻、そして僅かな醤油をかけまわす。
そして炒め、皿に盛り、削り節と揉み海苔をふる。
こりゃ、んまい。
酒にもよく合う旨さだ。
つい、冷えた菊正をグラスに注いでしまう。

夜、調べものと制作。




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☆  好物でもある鰻を題材に、複数の作家が書いた短編を集めた作品集。
   となれば買わずばなるまい。
   中でも吉行淳之介、吉村昭は好きな作家でもあり買って正解だった。

   しかしこのところの鰻の高騰ぶりは困ったものだ。
   かつて贔屓にしていた紀文の鰻 (真空パック¥780)がなんと¥1580になってしまった。
   当時中国産のものを国産にしたから、とメーカーは言いたいんだろうけれど、中国産でいいから
   もとの価格に戻してくれ。
   ということで読めば確実に食べたくなる鰻。そんな本です。   


ウミネコと夜の港



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夕暮れの小樽漁港より臨む海。
暗い眺めのなか思い出した。
幼い頃、父の仕事の関係上、漁港にはしばしば訪れた。
福島県小名浜漁港。
昭和50年代。
特に記憶のあるのがここなのだが、父が事務所に入り、ひとり残されるとあての無い散策が始まる。
とはいえ、ごく短いものだったが。
が、船舶の油が浮かび、発泡スチロールの破片が散り、トロ箱が漂い、、、と、見えるものに良い印象のものはなかった。
そして終いには「ここの夜はどんなに怖いだろう・・」
と思ったものだ。

思い出すもうひとつは、今は亡き友人Hと千葉の港。
九月最後の台風を買い込んだ焼き鳥とジンでやり過ごし、出かけた港はどこだったのだろうか。
(商港もしくは工業港といった感じだったのだが)
Hの愛車フォルクスワーゲン、柳鼠のビートルのフロントガラスが雨滴を弾き飛ばし着いた港。

夜明けに近い青渇色に沈む空の下、停泊する韓国船籍の船にひそり、と乗り込んだ。
愚かな20代は酔うとくだらないことを幾つもした。 小心ゆえちっぽけなことばかりなのだが。
無造作におろされたままの錆びの浮いた白い舷梯。
足音をしのばせデッキに上ると、やわらかな光のもれる船室の扉がすぐそこ、目の前にあった。
冷たい海の風に吹かれながら幻惑されるようにしばし呆然と佇んだ。
そして、どんな人生が中にあるのだろうと考えながら海に向かってした小便は潮風に吹きちぎられた。






3月15日 (火)

滑走路。離陸。
すさまじい馬力に身をゆだねる加速は、腹に幾重にも残響を留める大太鼓を感ずる気分にも似ている。
北海道。
大雪原ならぬ大雲原を抜けるともうそこは千歳市上空。
この歳にして初めて踏む地であることが感激だった。
街が、空港が、眼下に近づく。
この度の北海道旅行は今年11月の個展のため、画廊を訪ねるのが目的。
その画廊なのだが・・・。

難破船、遺棄船。
そんな錯覚すら覚える古色蒼然たる画廊は古民家を改装したものであって、そこに俺を含む3人は
現れぬ画廊主を待ち続けた。
約束日は今日。時間は定刻通り。
施錠もされていない玄関を入りすぐの部屋はカフェとなっており、カウンターにはコーヒーカップが凍てつき、底には茶色の
残滓が輪になっている。
吸いさしの煙草。小皿に残された菓子。ミルクピッチャーは固くへばりつく。
まるで「メアリー・セレスト号」だ。




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★ ギャラリー犬養

  3人は散り、庭、階上、など「船室」をさまよう、が、ひとの気配は無い。




「犬養氏」について話し合う我々のいる冷え切った暗い「カフェ」からは、溶けゆく残り雪が屋根からぽたりぽたりと滴るのが見える。
暗い屋内からはそれが見えるガラス窓だけテレビの画面のように明るい。
森閑。
電話、メールとも犬養氏からは応答なし・・・なし。
中井結さん。
今回の北海道は札幌「ギャラリー犬養」での個展をセッテインングしてくれたこの人以外俺もKも会ったこともない犬養氏とは
いったいどんなひとなのだろう。
まるで「ゴドーを待ちながら」だ。

謎はすべて謎のまま、我が画集と土産そして書き置きを残し、遺棄船ならぬ雪に埋もれた画廊をあとにした。

と、Kがいない。
振り向くと「待って~」と駆けてくるK。おお、なんだか芝居じみて出来過ぎなこの光景。

「ミルク&パフェ よつ葉ホワイトコージ 札幌パセオ店」に3人でゆく。
ここで今回世話になった中井さんと別れ、小樽へと向かう。
到着。
なだらかに下る広い道路の向こうに海がある。
倉庫街をぐるりと廻り、小樽漁港に着いたときにはすっかり暮れ、果てない海が静かに広がっている。
遠く遠く果てまで広がる暗い海だ。
近くには第一管区海上保安本部の庁舎が煌々と光を放っている。
さて、暗い海をあとにし、待望の鮨はKの情報による店。

店内に入るとテーブル席を案内されるがここはあえてカウンターの意思を表する。
すでに6人の客が座っているのだが少々萎縮してしまうような静けさなのはなぜだろうか。
昔のことだから今はどうかは判らぬが、東海林さだおの本で「小樽の鮨屋」について書かれた怖さがよみがえる。
とはいえ、旨い魚への期待で胸は高鳴るほどなのだが。



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★ 東海林さだお 『行くぞ!冷麺探検隊』

   作家・北杜夫が実際に体験した小樽の鮨屋での具体的な事柄が書かれ
   それを確かめ(?)にゆくさまが、ちょっとはらはらしながら愉快に読める
   「小樽の夜」。
   気取りのないこの名文家のこの巻には他にも「正しいハワイ団体旅行」
   「寿司食べ放題バスツアー」 「うどん王国・讃岐」 「博多の夜の食べまくり」
   など、いつもながら目に見えるような描写が実に面白い。
   添えられた漫画家・東海林さだおの絵がまた、話しを愉快に盛り上げる。




お。
皆、握りの一人前を注文しているようだ。
値段表がこの店にはあるので安心・・とはいえ、なんと一貫400円以上が大半を占める。が、ここはあえてお好みで。
まあ、せっかくの小樽の夜。ましてや初めての小樽の鮨屋だ。覚悟しよう。
さっそく握ってもらう。
ひらめ、鯖、ソイ、八角、穴子、鮪、イカ。そしてイクラに雲丹。
宗八鰈というのを焼いてもらう。箸休めにはカニ酢、カニみそ。
酒はビールから入り、ハイボールそして日本酒は小樽の「北の誉」を熱めの燗で。
白身の魚というのは何種類もあるなか、どれがどれかわからない。
でも、いいんだ俺は。
うまいうまいって食ってりゃ幸せなんだ。

勘定は心配したほどには程遠く、味も旨く、握りがあまくほぐれやすい・・・ということを除けばまあ良店ではないだろうか。
さて、札幌に戻る。

次はKの大好きな店。
その極めて奇妙な店は「アイスクリーム屋」なのだが、「まさかここにアイスクリーム屋があるとは!」と思うほどの入口。

地下店内は座ると天井に手が届くほどのまさに穴倉、もしくは炭鉱の喫飯所と言っても過言ではなく、暗いテーブルに
詰め込まれる相席は気分の良いものではない。
待つ事10分、20分、30分・・・、どれほどの経過かはもはやわからぬ頃にそれは運ばれてきた。
パフェのグラスにはラムが沈み、匙ですくい口に入れるとそれは冷ややかな綿のように溶け、これは旨い!
粗雑な盛りとは裏腹にそのなめらかな口溶けと、玉子と牛乳をすなおに感じさせる濃厚さはまさに「有り難し」だ!

やっかいな注意事項の書き並べられた紙をそこここに張り巡らす風変りな店主の近寄りがたさではあるが、この口福
ならではの繁盛ぶりなのだな。

感激に浮かれついで、すすきのをさまよい、せっかくなのだから一人前だけでも食べようと入ったジンギスカンの店では
肩ロース、もも肉、羊のソーセージ、とこれもまた感激する旨さだった。(キムチは普通)

鉄兜で気前よく油を爆ぜながら焼ける肉を頬張る。
滴る肉脂で焼けるもやしとキャベツの旨いことよ。
気が付けばあっという間に客が埋め尽くしていた赤いカウンターが何とも記憶に鮮烈だ。






図録


3月28日 (月)

サントリー美術館へ宮川香山展を観にゆく。

その時代を鑑みれば宮川香山という作家の奇想ぶりに只々驚嘆。
近年鑑賞した芸術にこれほど衝撃されたこともまた無い。
とにかく初めて知ったこの作家の劇的とも言える過剰な装飾嗜好と、常識を飛びぬけた発想そして精緻な技術に
爽快なショックを受ける。
真実の職人魂、芸術魂を思い知る。
図録の購入も久しく無かったが迷わず購入。

こうざん3

★ 写真撮影が許可された展示室での写真。

こうざん

★ 高浮彫桜ニ群鳩大花瓶

こうざん2






〇  今月は連載記事、作品掲載の二誌が届いた。
   ひとつはアトリエサード刊 『エクストラート』
   もうひとつはピエブックス刊 『幻想耽美・Ⅱ』

   『エクストラート』では今回、アメリカのすばらしい女性画家
   ブランディ・ミルンさんのことを書いたのだが御本人から
   編集部に嬉しい挨拶が届き、こちらも実に嬉しく思う。
   赤く、濃密、それでいてあたたかな幻想少女画はキュート
   だが、作家本人の強力な生命力を感じずにはいられない。

ekusutora.jpg

たん

   『幻想耽美・Ⅱ』 はこれもまたすばらしい作家が数多く紹介
   されており、価格は少々高いが充実の大著である。







3月30日  (水)

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自動販売機を見に新潟までゆく。
まさしく昭和の生き残りを見にゆく。
寝台列車。
食堂車。
大手機械メーカー以外の自販機。
長い歴史を持つ喫茶店。
そういったものが次々目の前から消え失せてゆく。あたらしいテクノロジーや、効率化、合理化のためだけにすべてが
画一化(しかも恐ろしい速度をもって)の様相を呈しているのにつくづく疲れる毎日が続く。
それらについてゆけるひとたちがうらやましいよ。
そんななかKが教えてくれた新潟県にある「公楽園」に行った。




外観

★ 写真は雨のあがった翌日の公楽園。
   今回は街道側の和室だったがいつか洋室、それも田圃に面した特別室に泊まってみたい。




聞けば昭和53年にできたここは、自販機コーナー、ゲームコーナーを備えたモーテルのような宿泊施設であって田圃の
地平が見えるような只中に建っている。
その佇まいはまさしく昭和を乗り越えた威容である。
高速を飛ばすこと3時間。
あたりは闇に包まれ始め、車が激しい雨に叩かれ始めたころ到着。

さあ、中に入ってみよう。
おお、はたしてそれは立派にあった 「トーストサンド」の自動販売機!
ここで頭の中に鈴木慶一の「自動販売機の中のオフィーリア」が流れた。




トースト

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★  ハム一枚がぺろんと、マーガリンの塗られた食パンにはさまれただけ。
   それなのにどうしておいしいのか。
   いつ果てるかも知れぬ、「時代の遺物」が作ってくれた・・、というありがたみもあるかもしれない。
   「部品が無くなればそこでおしまい・・」、と、翌日、話し好きでひとの良い御主人が話してくれました。




丸みを帯びた今の販売機とは異なり、無骨な鉄の塊といった趣のそれは、それでも明るく輝いている。
お金(250円)を投入し、ボタンを押すと「トースト中」という期待感溢れる点滅をはじめ、やがて商品口に出てきた。
アルミホイルに包まれたそれはとっても熱い。
もどかしく開けると湯気のたつようなトーストが現れた。
待望のひとくち。旨い!が、それはトーストされた食パンを再加熱するためフレンチトーストのような食感だ。
だが、これはもはや別物の旨さだよな。
ハムトースト、チーズトーストの両方を買い、持ち込みのビールで、やる。
残念ながらうどん、そば、ラーメンの販売機は最近になって修復不可能(部品がないため)により、その長年の役目を終え
退役したそうだ。

さあ、今夜の宿はここの二階だ。
廊下を突き当り、九畳の和室に入りその昭和臭に卒倒しそうになる。
それは激烈な郷愁による一時的なタイムスリップとも言えた。
まさしく子供の頃の親子旅行で随分味わったものであって、この空間自体が昭和から時を経ていない証だ。
部屋、トイレ、風呂も長年、時に晒され、人に晒され、「ひと焼け、時焼け」してはいるものの、くまなく清潔にされているのに
感心した。
布団もシーツも枕カバーも清潔である。




☆ ホテル 「公楽園」

廊下

部屋

洗面所

★ 上から「公楽園」の廊下、和室、洗面所。
   昭和の旅館、ホテルその他公共施設の造作とはこういったものだった・・、とつくづく思い返す。
   いいかわるいかは別だ。好きか嫌いかだけなのだ。
   ただ、湯島のすき焼き屋、鶯谷の豆腐料理屋で感じた数少ない昭和を強烈にここでも体感
   できたことは貴重かつ実に嬉しいことだった。
 



さあ、近所に飲みに行こう。
街道沿いにあるこの「公楽園」だが、先にも書いたようにあたりは田圃以外殆ど何も無い。が、「ひゃくてん」という店がある。
ここは居酒屋と食堂を合わせたような感じ。地元の人々がさまざまな目的で使うのだろう。
料理も豊富で和食、洋食、中華と殆ど網羅している。しかも平均以上の美味しさに我々は驚く。
有頭の大海老のフライは立てる歯にさっくりと心地よく、舌を焼く揚げたての熱さ、そしてぶつりと歯切れも良い。
新鮮な刺身も熱めの燗酒によく合う。
しばらくすると入ってきた地元のおじさんがカウンターですするラーメンが妙に羨ましい。


翌日、大きな浴場でゆったりと湯に浸かった。
ここは「公楽園」ではない。
「ひゃくてん」の気の良いお姐さんに聞いた「きんぱちの湯」という宿泊施設で場所は寺泊。
日本海を眼前に臨む絶好の地にあるため、眺望は抜群であった。
広い食事処も海に面する全面がガラス窓で、明けても暮れても海原を楽しめる。
楽しめるが車なので酒は飲めない。だから楽しめない。
もう来ることができないかもしれない。
だから泊まることにする。夜、飲もう。
猫にはもう一晩先生のところで我慢してもらおう。




☆ 寺泊 「きんぱちの湯」

きんぱ

★ 三階の部屋から望む日本海。
   春とはいえ、窓からは熱いほどの陽がそそぐ。



Kの運転で無人の神社、そして港へゆく。
陽も暮れかかる港は「港湾関係者以外立ち入り禁止」とあるが、隣の汽船乗り場と公園の境があいまいなので
入ってみる。ひとは4,5人おり、釣りをする父子もいる。
イカ釣り漁船が数隻、停泊している。どれも小型船だが間近に見るのは初めてだ。
夕暮れに、たゆたうそれらはどれも無人。
日本海ならなんだろうか。スルメイカかな・・。
一列に吊るされた集魚灯。
暗い海でいっせいに灯され輝くのはさぞかし美しいだろう。
のぞき込むと操舵室にはいろいろあるなあ。各種電子機器、酒瓶(地酒の菊水だった)そして神棚。
昔の千葉を思い出し、つい足を踏み出しデッキに乗り込みそうになった。が、やめた。
酔っぱらってないからだ。それに静かに冷えがからだを包み始めてきた。宿へ帰ろう。


翌日。帰路。
関越自動車道。

ルームミラーに唐突に赤い回転灯が映り出た。
覚えがない追走をされているようだ。だが、とっさにアルコール検査器を使われることを危うんだ。
もちろん今日なんざ飲んじゃいない。前日のものが出ないとも限らないと思ったからだ。
高速道路交通警察隊の車について高速を降りるよう誘導される。
「パトカーについてきてください」
「車」のリアガラスにつけられた電光掲示板にそう指示が点滅する。

運がわるい。これで三度目だ。今度は「法定通行帯外通行」と「法定速度違反」だった。
反則金6,000円。
「期日以内に納めていただけないとここ(群馬)まで出頭頂くことになりますのでご注意下さいね」
運がわるい。
ストップメーターに速度が表示されている。
30キロオーバーを告げられたのだが、なぜかこれは今回大目に見てくれた・・。
非は認めるが、公平ではない(他の車をくまなく取り締まりをしていないということ)ことに抗議するも
違反は覆るものではない。
まあ、無事帰れたので今回の旅はよかったと思おう。
とにかく充実の3日だったことをふたりで喜ぶ。





プロフィール

kiemqu

Author:kiemqu
西牧徹/黒戯画世界

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