豆富 / 写真家 / トランスと雑司が谷

5月14日 (水)



○ 手直し、加筆と言えど、俺の場合は当時の技術では深描きできず終えざるを得なかった箇所が多々あるために

今手をつけると程よい濃密さで完成し、ほぼ別物となる。無論、今でも手に負えないものは幾らもあるが・・。

というわけで寝かしきりだった数年前のB3作品がようやく「完成」した。それが数日前。


○ 今年12月、日本橋・みうらじろうギャラリーでの個展に出す中では比較的大きなサイズ作品だ。タイトルは改め

「白の海城塞」とする。

この展覧会ではアトリエサードより刊行予定の初の画集の出版記念も兼ねるゆえ、今後の制作は古い

我が纏い着とも言える思い込みのエロスという既成パターンから脱せねばならないと感じる。(可能な限り)

怠惰、遅筆の俺としては他の鉛筆作家のさまざまな技量、技法には羨ましくも思うと同時、感心しきりである。


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                  「白の海城塞」   (50×35cm)の一部。


○ さて、今日は月に一度の「HPNの会」。

今回の豆腐料理はPの提案であり、これは非常に珍しいことなのだ。店は「笹の雪」。

鶯谷にある豆富料理の老舗であり、良い部屋をとることができた。(ここでは豆腐は豆富と書くのだそうだ)

予約時間よりかなりの早い時間に行ったのだが気持ちよく部屋へ通して頂いた。



○ 館内はやはり昭和の古い旅館といった趣で酒と料理を楽しむにうってつけ。

蹲のある小さな座敷庭の見える(雪見障子越しに設えてある)部屋には先付けがすでに用意されており、本日の料理の栞

も卓上に並ぶ。ほどなくPが来る。

少し遅れてくるというGを待つ間、ビールを頼む。


○ 皆揃い、料理が順に運ばれるのだが、やはりどうも物足りないのだなあ。 豆富自体は旨いのだが。

鳥取の麦焼酎をボトルで頼む。(某御大漫画家の因みある酒。)

座敷の会食が続くこの会だが、やはり共通する思いは昭和の古色ある座敷、館の佇まいというものは実に良い。

酒、料理ともに味わいも増すというものだ。

しかし、早仕舞いが多いのだ。老舗というものは。

続いて向かうのは「K」だが、果たして入れるか。いや、ここの仕舞いも早かったっけ・・。案の定、わずか30分の滞在。

鴨の塩焼きなど(ここのは最高だ)頼み、あっというまの時間切れとなる。

(※ とにかく良い酒場というのは開店同時に飛び込み、カウンターでやる、というのがいちばんだな。)


○ 最後は駅前の「かぶら屋」で黒おでんとモツ焼き2,3串を頼み、電気ブランを飲み、終了。

白々とした蛍光灯のあかりのもと、閑散とした鶯谷駅ホーム。

帰宅後、一連のこと(猫の世話、入浴)を済ませ、仕事。






5月16日 (金)


○ 写真家の志戸本洋一さんと会う日。

FBを始め、ほぼ一年となるこの5月。「友達」の中でこの人が俺に会いたいというメールをくれた。

これは非常に嬉しい申し出だった。

FBの「申請」はこちらからした彼はモノクロの作家であり、当時調べさせてもらったところによると非常にストイックで

厳密、端麗の写真を撮る作家であった。


○ 時間通り、新宿の寄席前で待ち合わせると、おお、このひとか?とも思ったが一瞬間、出待ちの奇術師かとも思え

たのは失礼。(たまにいる)。しかし佇むそのスタイリッシュな長身は、近づくと、創造をする職業固有の匂いを漂わせる男

だった。

すぐに「T」にゆく。

「T」。 ここもまた、綿々たる昭和の名店であり、数多ある新宿の焼き鳥屋でも屈指の味。(鶏出汁であっさり煮込まれたこ

この煮込みは旨味もしっかりある上品な味)

ビールとコースを頼む。(ここではねぎま、レバー、皮、砂肝、ぼんぢり、手羽の焼き物6本が基本)甘さを抑えた白味噌タレ

で焼かれたねぎまは非常に旨い。


○ 活動の場がほぼ海外だと言う彼の話しには、特にヨーロッパの話しだが、やはり文化の裾野からして違いが

あり到底及ぶものではないと感じる。フランクフルトで催されるというブックフェアの、日本など及ぶべくも無いその規模に

驚かされる。




○ 三軒の店を渡った最後は久々の「どん底」

話しは尽きずに時計はすでに11時をまわった。再会を約束して駅で別れる。実に楽しい時間を過ごす事ができた。

最終の特急に間に合い、スムーズに帰れる。

帰宅後、雑用を済ませ、コンビニで買ったトリスハイボールを机に置き、「borgswede-cafe」の続編である「棘の作法」

の原稿手直し。今週中にアトリエサードのS氏に送らねばならないのだ。

熱帯の植物について調べ物をしながら1時間ほど作業。


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○  アルカンのCD。
   資料に目を通しながら『borgswede』で使う詩体文を書く時に良く聴く一枚だが、この演奏はとりわけ気に入りのもの。
   
   





5月22日 (木)


○ 幾つかの連作の中、十年一日の如く、相も変らぬ表現に嫌気がさすこの頃なのだが、エロティシズムはひとのためで

はない。ただ、とにかく新味を出したいということだ。

制作途中の苦しさがそう言わせるということもある。

突き詰めると絵は才能がものを言う。努力ではたどり着く事のできない感性と高い集中が必要なのだ。

煌くような感性を持った画家を心から羨ましく思う。



○ 仕上げの段、室内装飾、たとえば壁塗り、ソファの質感などにかかる何十時間は退屈だ。飽きる。そんな時に効果的

なのはやはり音楽ということになるのだが、艶画の場合に限り、トランスが自分には良い。ハードもしくはゴア。最新のもの

でなくともよい。


○ 80年代後半~90年にかけてのエレクトロニック・ボディ・ミュージック(スキニー・パピーやフロント242など)もいい

が、懲りすぎたつくりゆえ、聴き込んでしまい集中できないのだな。

久しぶりに買いに行くかな・・、とは思いつつ、近年、ひとり出が億劫になったんだな。誰かと飲みに行くのは別として。

そう逡巡してる昨日、友人のケロッピー前田さんから電話有り。(身体改造ジャーナリスト、ライター、巨躯、超インテリ)

宮川ひかるさん(連れ合いで現代美術家)の個展の報せとともに、ピス賢(コアマガジン元『BURST』編集長)の

ライブを観に来てくれた時のひどい変わりようについて・・だった。 それに、金は無いはずなのにビールをおごられたとい

う。

元来気前のいい男なのだ。俺もコアマガジンに持ち込んだ以降、何度かごちそうになったものだが。近頃ときたら・・。


○ ピス賢の住まいは俺の散歩コース(夏場、ひとり彷徨う)にあるのでディスクユニオンついでに行ってみることにした。

大変な時期。会うつもりは毛頭無い。見舞いの品だけ郵便受けに入れるつもりだ。

冷蔵庫を持たないので常温で日持ちするもの、なおかつ郵便受けの口が受けられるもの・・。

ということで西武百貨店食品売り場にて山椒入り塩昆布と茶漬けのもと(鯖のへしこ)を買い求め、入れてきた。

「井戸」のある小路。

都心の雑踏から少々入り込んだところ。そんな静かなところに彼のアパートはある。


○ さて、次、CD。

ディスクユニオンへゆく。最新のものでなくとも良い、重いビートを望む。

しかしテクノなどは一部メジャーアーティスト以外は本当に安値で売られているなあ。

近頃はこの手のものは聴かなくなっていたために、情報は無い。ジャケ写真と帯で推測するが、アンビエントや

ドローンなどと同じく、そのジャケがほんとうにひどい。ただの草原やら手のアップだとかひどいのになると足裏だ。

そんなものをどうしてジャケに使うのだろう。いや、使いたいと思うのだろう。

数だけは豊富。その中から5枚を選び額は¥1,680。


○ 帰宅後取り出した最初の1枚が思いのほかの収穫。低くうねるベース音にリズムもかなり重く、非常にダークな

もので女性ボーカルの入ったアシッド・ハウスといった感じか。(しかしジャケはひどし)

制作中のややグロテスクな絵内容の進行にはちょうどよく、3時間ほど作業が進む。


○ モノクロ表現というのは色彩の情報が限られているゆえ、観るものの想像力をさまざまなかたちで喚起する。

裏返せば情報過多なのだ。カラーというものは。

近頃気になる写真家が何人かいるのだが、その中のひとり。

アメリカの写真家スティーブン・シェイムというひと。

このひとはフォトジャーナリストなので「想像」がそれほど介入するものではないが、シビアで、ひとのぬめりなどが

迫り来る写真を撮るひとと思う。そのひとのいくつか気になる作品のうちふたつほど・・。

で、今月はおしまい。また来月。



しえ
 

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西牧徹/黒戯画世界

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