ボウガンとポルノ


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1月28日(水)


日暮れて都心に向かう冬の特急車内はさびしい。
だが、そういうのが好きだ。
郵便受けにアトリエサードから送られてきた最新号を出がけに確認しているので帰宅後も楽しみ。
新年初めて、そのアトリエサード鈴木編集長と呑む。

新宿。
猥雑、混沌、臭気漂う胡乱な人間のひしめく裏通り、 高校時代とまるで変わるところがない。

80年代、そんな混沌の錯綜する大通りに銃砲店があったことなど今のひとたちには想像もつかないだろう。
俺はそんな大通り近くの劇場で観た「マッドマックス2」に今思えば幼稚な触発をされ、ここで木製の重たいボウガンを買ったことを覚えている。
36,000円くらいだっただろうか・・・。
それは無骨で飾り気のない、とは言え、この重さでは実用性も甚だ疑問なボウガン。
アルミ製の矢は冷たく凶悪で、矢をつがえ引き金を引くときの高揚感も冷たく暗いものだった。
電話帳2冊をブリキの菓子缶にガムテープで留めたもの、それが標的であった。

今は絶滅寸前のポルノ映画館もなんともなつかしい。
土曜昼下がり4,5人で、制服の上は脱いでくれとチケット売り場のお姉さんに言われ入った映画は日活ロマンポルノの名作
 「後から前から」だったのもなつかしいが、成人映画に高校生が入れたのは寛容というほかない。
(主演の畑中葉子はなんと紅白にも出場した歌手でありポルノ女優でもある)

Sは上映後腹痛を催したが館内のトイレには入らず足早に出て行った。
「オナニーすると思われるのがいやだったから」
というのが我々の一致するところの意見で笑ったものだったが。
本当は当然皆したかったのだ。

寛容といえば池袋東口、地下映画館「日勝地下」ではゾンビ映画とポルノの二本立てを観た。(ゾンビとポルノの二本立て
というのも凄いが、カッコイイと言えばカッコイイ)

制服、制帽そして学生鞄。
何もとがめられることなく、またそれを知らずに唐突にはじまったアメリカンポルノのタイトルは「ポルノエキス・迫る女」というもの。
擦り切れた赤いベルベットの座席、床にはあきらかに精液が幾重にも汚らしくこびりつき乾き、おぞ気だったが、ポルノが始まれば制服のズボンポケットの中に手を入れ、そんな汚らしい仲間に入ってゆく快感を感じたものだった。
上映後の冷めやらぬ興奮を「切れ端」でもよいから持ち帰りたく、帰りしな無人の廊下に掲示されていたタイムテーブル
(当時は手書き)
をくすねた。
「サンゲリア」「ポルノエキス・迫る女」の。

と、まあこんなことを思い出しながら結局は今宵の呑みも実に楽しく、二軒目に合流したkとともに帰る。

とにかく夜に向かう街が好きであり、この小心者の俺だがそんな夜にまぎれて呑む酒はいつも最高なのだ。
さて、今月もそんな日記の抜粋を。

(写真は東京で好きな街のひとつ神田、湯島の老舗のおでん屋。мが撮ったものを拝借。何度訪れても味含めすべての
最上が味わえる稀有な店)


 
1月3日 (日)


感慨無く新年を迎えるのはいつものことだが今年もやはりそうだった。
正月が楽しいのは子供時分だけ。お年玉がもらえたから。
今はコンビニ、デパートは元旦から営業、年明けの風情もへったくれもない。
近くの寺でいちにち中参拝客に衝かれるへたくそな鐘の音でうんざりする。
年末年始も不慣れな原稿書き、11月の北海道個展のための制作、酒。

今日はSが来る。ひさしぶりにすき焼きをする日。
Sはこの3日からすでに仕事で、日も暮れてから奇態だが例のイカス車で来る。
酒宴の酒、食材もいつもこの車に乗り込み買い物にゆくのだが「羨ましい」
そこここにSのオリジナル装備がなされ、車内というより「部屋」といった趣。

深夜、例の如くコンビニまで(風情がないなどと言ったことは忘れた)アイスクリームを買いに。
で、ついでに、このコンビニから来た年賀はがき持参。
持ってゆくとホットコーヒーを一杯ごちそうしてくれるのだった。
Sと一杯のコーヒーを回し飲み帰る。




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☆ 浜田マロン 『成熟のマーブル』

   骨格のふとい歌声はこのジャケ写真からは想像がつかない。
   「艶」と「渋さ」を併せ持った彼女の熱のこもった歌いっぷりが
   すばらしく、一分の隙も無い完成度100%超のアルバム。
   



1月15日 (金)


始める前はこの寒空で飲むわけないだろうと思うミネラルウォーターが実にうまい。
例のムーミンの庭(駐車場。無人、車も一台も無し)でkとバドミントンを一時間半ほど。
初めの頃と比べ息も相当持つようになった。三年前、Aと打ち合っていた頃よりも調子も良い。
とはいえ遊びの域を出るほどのものではないのだが要は楽しいか否かだ。
シャトルが見えづらくなったところでおしまいにする。

ジム、卓球場、武道場、など様々な体育施設の入った建物内は広く、この時間になるとあまり利用者もいない。
自販機コーナーであたたかいカップコーヒーを出しロビーでくつろぐ。

夜9時半からの「スター・ウォーズ」まではまだまだ時間があるため、カップのワンタンとおにぎりをひとつづつ食べ、少々寝る。

車で10分もかからないこのシネコンに来たのは初めてなのだが入ってみて本当にシネコンとして何ら遜色無しの立派な内部に少々感激する。
(普段、買い物に来ている近所にこんなところがあるのが意外なのだった)

4d、3d、2d、2d吹き替え、と4スクリーンの選択ができるのだが
我々はあえて2dを選ぶ。なんと入場者は2、30人。始終静寂に包まれゆったりと観ることができた。
一作ごとリアルタイムで追い、楽しんできた者としては往年のキャラクターとジョン・ウイリアムズの曲がなければ「s・w」とはどこか違うような気さえした。何十年にも渡る制作では変貌しないわけもないのだが・・。
しかし、ゆったりと味わえた深夜、近所のシネコンでの「映画」が楽しくないわけはない。
貴重な一夜だった。


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☆ コーエン兄弟 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』

  あまりコーエン兄弟らしくない作品。
  『バートン・フィンク』 『ビッグリボウスキ』 『バーバー』『ノーカントリー』
  など奇妙な人物のたくさん出てくるものを期待したのだが、ちょっと
  その点では残念。しかしこの兄弟の映画は二度目、三度目に良さが
  じわりとやってくるので二度目の鑑賞に期待する。
 
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☆ 古井由吉 『山躁賦』

   比叡、高野の神社仏閣をめぐる男は病み上がり。
   の、ためなのか時間感覚の喪失したかのような描写が別世界との行き来を
   思わせる。それはまるで霊魂が如くの異様とすら思える彷徨だ。
   一読では把握、理解ができなかった。
   再読を繰り返し味の湧出する小説。これは俺にとって文学の財産とも言える。





1月24日 (日)

二十五、六年も前の寒い日。
したたか酔っぱらって友達と別れたあと、愛用していた東池袋のビジネスホテルにひとり泊まった。
部屋で、買ってきたロング缶のビールを開け、飲んだが半分は残し窓からふらふら街に彷徨い出た。
(このホテル一階の窓外は車一台停まれる屋内駐車スペースがあり、窓から出入りができた)

入った雑居ビル最上階はボーリング場だったのだが、それは知らずしてなぜそのビル、ましてや最上階まで階段で登ったのかは今となっては理由も判らず。
白い大きな鉄扉を開いたらそこは営業も今しがた終え、照明も落とされたボーリング場だったのだ。
少し離れた場内入口扉付近はそこだけぽっかりと明るく、何人か(従業員か客かも記憶にない)がいた。
とにかく酔っぱらっていたので手近にあったボールをつかむと躊躇無く一投した。
すぐ追い出された。

そんなことを思い出したのは今日初めてボーリングに行ったから。
51年生きていて初めての経験というのもどうかとは思うが。
かつての「一投」のレーンは無人だったが今日も無人。
ゲームを楽しむのは我々ふたりで、違うのは煌々とした照明のもとということ。今日は営業時間内である。
無論金も払った(2ゲームともkが出してくれた) よって追い出されない。
しかし日曜の夜22時をまわったところはこんなものなのかな。
楽しい。









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西牧徹/黒戯画世界

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