「半島」   松浦寿輝



半島



    「半島」 文藝春秋




誤解を恐れず言うならばこの小説は冒険小説である。
退職したひとりの大学教師の巡る、ある半島での幻想的冒険譚。派手な波乱はここには無い。が、得体の知れぬ人物、老獪な人物、料理店を仕切る謎めいた妖艶なる中国女性、前衛的舞踏集団。そして殺人の回想。それらが、読む者を幻惑的に振り回す。

この作家は、生と死のはざまを行き来する人物を多く登場させる。短編集「あやめ 鰈 ひかがみ」の抜け出ることのできないそれら悪夢的現実の重苦しさに読後ぐったりさせられたが、この「半島」は他では味わったことの無い奇妙な期待感をもって読み進んだ数日間だった。



☆この「半島」。出口裕弘の作風に似ているのかもしれない。両者ともに東京大学出身でフランス文学者という共通もおもしろい。
なお、本体表紙絵に使われているのは、かのヴィルヘルム・ハンマースホイ。




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