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遅れた日記・1 「ピンクフロイド / 伊勢丹 / 四谷バースト」

1月3日(木)

Gが率先して作業してくれている黒戯画目録用のため、午前中、旧作の撮影をする。
2001年の初個展以前の作品が見つかる。未完だが捨て置くには少々惜しいもの。
口幅ったいが今では描けない昔の自分の絵の良さがある。敬愛する小説家,森内俊夫先生と何度目かにお話しした時「こういうもの(『骨川に行く』の事)は書こうと思っても今ではもう書けない」とおっしゃった時は意味がよくわからなかったが、今にしてみるとなるほどと思う。

ウィンタースタイル

★ 撮影の合間、ドールの写真を撮る。
  オリエント工業2002年生産のもの。
  名前は「リナ」。ウィンターコーディネイト。

 
 今日は曽根さん(元、バースト編集長・ピス賢)と飲む約束。
2時に小峰正治さん(レコードコレクターズのライター)と新宿の紀伊国屋書店で待ち合わせる。
長身の小峰さんは相変わらずお洒落だ。彼の提案で「新年のディスクユニオン」に立ち寄るとピンクフロイド「アニマルズ」のデジパックが安い。買う。その後、伊勢丹地下で日本酒、鯖と平目の棒寿司、焼き鳥を買う。寿司もうまいが、ここの焼き鳥がさめてもうまい逸品。
事務所に着き、さっそく飲み始めるが今日の曽根さんは慎重だ。年末年始と連日飲み過ごしたらしい。曽根さんがビールと実家から送られてきたという自家製のラッキョウと笹かまぼこを出してくれる。たちまち時間は過ぎる。もう10時半だ。小峰さんを残して事務所をあとにする。帰宅後、ハイボールを一缶飲みながら2時間ほど仕事をする。

音楽をかけたまま、おじちゃんは消えた。

 

猫の名前はカピタン。2歳になるうちの猫だ。Aの住まいの近所から我が家へ連れて来て二年になる。
Aの家へ行ったある日、ドアを開けた彼女が言うには僕のあとをついてきた猫だと言う。気づかなかったが足元に
猫がいる。
Aも僕も猫が好きではあるが、すぐさま家に入れなどしなかった。猫は閉じられたドアの外で鳴き、裏へまわって
鳴き、やがてどこかへ帰って行った。二日後Aと旅行から帰り、まもなく猫の声。二日間我々の戻るのを待って
いたのだろうか・・・。
 翌日、日も暮れた田んぼのあぜ道をAとふたり、カゴと餌を買いに行った。一晩動こうとしなかった猫を僕は家へ連れて行く事に決めたからだ。
 雨上がりの空に渦巻く灰色の雲に車のヘッドライトが乱反射する、そんな晩だった事を覚えてる。 
そのカピタンが猫としては稀な椎間板ヘルニアになり、快癒した話しを少し遡った日記として書く事にする。



カピタン


11月29日(木)

  日本獣医生命科学大学出身で病院の副院長であるI氏。猫の病気が判明した昨日、このまだ若い先生が言ったことでおおいに迷う。犬の椎間板手術の経験は数十とあるが猫は初めてだと言うのだ。
「失礼は重々承知で聞きますが、お任せして大丈夫ですか」←(失礼だが聞かずにはおれぬ正直な気持ち)
「犬と猫の構造的、組織的な違いはありません。あるのは脂肪の厚さ、骨の太さなどで手術自体に問題はありません。しかし、ご心配であるなら経験ある医師をご紹介することもできます」
だが、そうなればまた予約、遠方への移動・・・、時間の経過によるカピタンのからだのリスクは大きくなる。
それらを考え、信じて任せることにする。


11月30日(金)

  11月も終わりというのに何とも暖かな日。カピタンの手術は2時に始まる。その間、家に帰る気もせずフードコートでコーヒーとサンドイッチの軽食をとるとKの美容室に行きカットをしてもらう。
3時すぎ、I先生より電話。手術は無事終了とのこと。
病院。ケージに入れられたカピタン。手首には点滴針、鼻には細いチューブ、首にはカラー。包帯を巻かれた動かない半身を引き摺る痛ましいさまに、つい涙が出る。3日も経てば軽い歩行ができるようになるとのI先生のことばがにわかには信じられない。
 夜、カメラマンのSが心配して来てくれる。今、ここで気に病んでも仕方が無い。久々に和室に座卓を出し、酒を飲みながら鶏鍋をする。Sは「遅くなったけど」と言って誕生日祝いにドリップポットをプレゼントしてくれた。
一通りの酒を済ませた深夜、近所のコンビニまでアイスクリームを食べに行く。道中行き交うひともいない小さな林道、茶畑を越えてゆく夜の黒い道だ。戻ると偉丈夫のSは毎度持参の寝袋にもぐり込むとたちどころに寝入ってしまう。いつもより静かな部屋、床につく。猫を想いながら。


12月2日(日)

  先日行って来た鬼王神社のお守りをカピに持ってゆく。
顔を合わせると、連れ帰るようせがまれるのは目に見えてるので、モニターを通して様子を見る。
動かない。じっと座ったままだ。まあ、それはそうだろう。
I先生の話しでは運動機能は序所に回復、向上してると聞き、少し安心する。


12月13日(木)

  カピタンの退院の日。
若干、まだ脚は引き摺るものの、家に着き、かごから出すとあちこち歩き回り始める。しばらくはケージ暮らしだがやがて本来の調子を取り戻すだろうとのI先生のことば。お金はかかったが、かけがえの無い友の思った以上の回復に喜ぶ。 
 
 ※ このあと約5日ほどで軽く走れるようになり、今現在(12月30日)には走ったり跳んだりもできるようになった。鬼王神社へも年明け早々お礼参りに行こうと思う。I先生はもちろんの事、今回の事で色々お世話になった友人たちの、GとS、N子さん。本当にありがとう。
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西牧徹/黒戯画世界

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