スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カレーライス / おはぎ / うなぎ



mui.jpg
          『カレーライス』 (2016)  8×25cm
 
☆  ボールペンによる3作目 『カレーライス』 の一部分。
   同サイズのもう1点と共に、ワンフレームに収めて展示する予定。
   (場所は未定)




◯ 目黒の、初めて聞く名の画廊からグループ展の誘いがあった。
  こういった誘いは多々あり、言葉巧みに誉めそやし、とどのつまりは安くはない参加費を要求してくるのが大多数なのだが
  ここは送料自己負担のみ。
  作品を気に入ってもらえての誘いは嬉しくもあり 参加を決める。
  ただ、出展作品の調整に迷う。
  11月、札幌の個展のため未発表の新作は数点あるが、その殆どが過激な艶画であるうえ、小品なのだ。
  制作途中の「スフィンクス」が間に合えばいいのだけれど。





baraのコピー








4月8日 (金)

自衛隊基地に隣接するかたちでおおきな公園がある。
普段眺め通り過ぎていただけの、その公園に行ってきた。
芝地を覆いかける桜の木々の下に花見客は個々陣取り、その数は決して少なくはなく、でも、あれっと思ったのは
花見って皆こんなに静かだっけ?
誰も浮かれ騒いではいないけれど皆楽しそうに弁当を囲み、バドミントンに興じ・・、寝、喧噪も無く、ごみ一つとて落ちていない。

 夜になり花見客は散り、芝と桜の広場には殆ど人影はない。
基地反対側はうっそうとした木々に囲まれた遊歩道で、程よい街灯にベンチが照らし出されている。
そんな暗い木立ちから音楽が聞こえ、我々は興味をそそられた。
木々の向こうは見下ろす街の灯がきらめいている。
誰かがヴァイオリンを奏でていた。

 この日は他に蕎麦屋(夕方時だったためか客はおらず、贅沢にも囲炉裏端の席をしめることができた)
レストラン(ここのステーキは旨そうだ)そしてまさかあるとは思わなかったのがプラネタリウム。
児童館の中にそのプラネタリウムはあるのだが、幅広の螺旋状階段をのぼると、開け放たれた入口からドーム天井と
プラネタリウムが目に飛び込んできた。
無人。星空も無論投影されてはいない。
後日是非観にゆこうと思う。


プラ



5月15日 (日)

近頃の初夏のような暑さが引き、少々肌寒ささえ感じる今日。
昨日ささいなことで切った包丁での傷を見る。薬指。
腹が減ったので近所のコンビニへ行ったのが昼前か。
ハムとチーズのサンドイッチひとつ。こんなことはめずらしいことだ。
コーヒーを淹れ簡単な昼食とする。

 7月、11月と展覧会を控え制作、遅れ気味の進行だが無理はしない。できないし。
先日画材屋で買い求めたステッドラーの新商品である鉛筆の鉛筆以上の黒味が気に入り、調子は良い。
7月、目黒の展示はひとり150×100の壁面を与えられている。
まだ訪れたことのない画廊だが見た限り(ギャラリーのサイトで)真っ白な印象のそこは天井高く、広く、小品複数より
大作がよさそうだ・・、といっても俺のはたかが知れているが、、、。
「スフィンクス」100×80を出展することにする。

 今、派手で過激な直截的エロスを描きたい反面、アーリング・ヴァルティルソンのような肖像、それも奇妙な、レオノール・フィニ
の女性像、それも奇妙な、そういった作品を描き出してみたいとも考えている。

 3時間ほど制作をし、Kと家を出る。
芝の公園を抜けてゆくと一軒家のレストラン。この店にくるのはひと月ぶり。
今日ここで「ベリーレア」という焼き方を初めて知り、調べてみるとおおかた3種類であろうと思いがちな焼き方(ステーキの)
が6種類もあることと、単純な料理の繊細な奥行に驚く。
その後ビリヤードを1時間ほどし、帰宅。
ハイボールを飲みながら制作1時間ほど。




ozaki.jpg

☆  岡本かの子に次いで好きな尾崎翠の作品集が岩波文庫より2014年に刊行された。
   今は無き創樹社からのハードカバー本を愛読していたのだけれど、収録作品も違い
   読みやすいこともあり文庫も買い求めた。
  
   表題作もさることながら 『歩行』 『地下室アントンの一夜』 この二つ。
   少々奇妙な短編は、物語作法として一つの髄に達しているようにも感ずる。
   重箱にきれいに詰められたおはぎ。
   小豆の皮がところどころに輝く、まるまるとしたおはぎが目に見えるようだ。
   



5月16日 (月)

手元に置いておけば、なかなか終わりの見えない加筆をしてしまうのだが、描き込めば確実に充実してゆくその手応えは
一種の快感である。
かなり前の作品ではあるが「フェニックスの羅針盤」という作品に今大幅に手直しと加筆をほどこしている最中。

 ポップコーンをつくる。
小鍋に乾燥のトウモロコシを入れ、サラダ油、塩、化学調味料そしてバターを入れ、火にかけ揺するのだが、蓋をした小鍋
の中で弾ける音と手応えはなかなか小気味良い。
こりゃあ、んまい。

 夕食にKがゴーヤチャンプルをつくってくれたのだが、塩加減も良く存外旨い。
ゴーヤ、もやし、人参、木綿豆腐そしてスパム。香気の漂う湯気たつフライパンから白い深皿に盛ると彩りも良い。
へえ~、スパムを入れてつくるゴーヤチャンプルってこんなにおいしいのか・・。



5月21日 (土)


かぼちゃのポタージュをつくった。
鍋でかぼちゃを煮、マッシュポテトの要領ですり鉢でつぶす。
生クリーム、牛乳で伸ばし、コンソメを溶かした湯の入った鍋に、網で裏ごししてなめらかにしたその「かぼちゃクリーム」を入れる。

で、煮る。
これはいい出来だ。かぼちゃの自然の甘味が生きた手作りのスープは濃厚で実にうまく我ながら感心する。

 アトリエサード刊 『エクストラート』の連載記事を書く。
来月半ば頃発売のこの号で紹介するのはアメリカの画家。
まだ3回めで言うのも変だが、いちばんの気になる画家と言えばこのひとだろう・・、と思うくらいのアーティストだ。




soey.jpg

☆ アイスランドの女性アーティストであるソーレイ。
  このひとはピアニストなのだが、本作ではピアノは奥に姿を潜め
  展開される曲はまさにこのジャケットの如し、ダークでメランコリックなものが殆ど。
  クローネンバーグの映画音楽の担当である、ハワード・ショアのような
  静かに闇から湧き出るような不気味なシンセサイザーが印象的な一枚。




5月22日 (日)

トマト缶とトマトジュースの残りをもとにポモドーロをつくる。
そしてスープ。
ポルチーノはだいたいがクリームスープなので、あえてコンソメスープをつくった。
今日は疲れた。
昼はいつものサイクリングコースを散歩したのだが、気温が高いなか7キロ近く歩いたので疲れた。
しかし、舗装された細い堤、川面を眺めながらの気分は良い。
しかし、手作り感芬々たるカフェにも疲れた。
それはないでしょ、というカフェに疲れた。
でも散歩途中で食べたマックのハンバーガーはおいしかったな。


5月23日 (月)

ピーマンの肉詰めをつくった。
これは何年ぶりだろうか。
しかし、どうやらおいしく仕上がった。

 このところの気候で糠床の発酵が早い。塩と糠味噌辛子そして足し糠をする。
毎晩の酒の肴には糠漬けは欠かすことのできないものだ。
一時期中断していた床を、陶器の壺からホーロー引きの白の容器にして2年。
以前より漬け易くなったので世話も苦ではなくなった。
しかし、漬けるのはもっぱら胡瓜、大根、蕪、白菜、キャベツ、人参といったところで、じゃが芋とかアスパラとかピーマン
などは一切漬けなくなった。

 先日の昼、胡瓜の古漬けを刻み、塩昆布とともに入れ、焼き飯をつくった。
いちにち取り出さず、2日もすればたちどころに極上の古漬けになるこの季節。
それは酸味も塩味もかなり強くなり、焼き飯にはうってつけのものとなる。
細かく刻み、冷えたご飯とともに熱したフライパンに投じる。
そこに化学調味料少々と塩昆布、白胡麻、そして僅かな醤油をかけまわす。
そして炒め、皿に盛り、削り節と揉み海苔をふる。
こりゃ、んまい。
酒にもよく合う旨さだ。
つい、冷えた菊正をグラスに注いでしまう。

夜、調べものと制作。




una.jpg

☆  好物でもある鰻を題材に、複数の作家が書いた短編を集めた作品集。
   となれば買わずばなるまい。
   中でも吉行淳之介、吉村昭は好きな作家でもあり買って正解だった。

   しかしこのところの鰻の高騰ぶりは困ったものだ。
   かつて贔屓にしていた紀文の鰻 (真空パック¥780)がなんと¥1580になってしまった。
   当時中国産のものを国産にしたから、とメーカーは言いたいんだろうけれど、中国産でいいから
   もとの価格に戻してくれ。
   ということで読めば確実に食べたくなる鰻。そんな本です。   


ウミネコと夜の港



ooo.jpg


夕暮れの小樽漁港より臨む海。
暗い眺めのなか思い出した。
幼い頃、父の仕事の関係上、漁港にはしばしば訪れた。
福島県小名浜漁港。
昭和50年代。
特に記憶のあるのがここなのだが、父が事務所に入り、ひとり残されるとあての無い散策が始まる。
とはいえ、ごく短いものだったが。
が、船舶の油が浮かび、発泡スチロールの破片が散り、トロ箱が漂い、、、と、見えるものに良い印象のものはなかった。
そして終いには「ここの夜はどんなに怖いだろう・・」
と思ったものだ。

思い出すもうひとつは、今は亡き友人Hと千葉の港。
九月最後の台風を買い込んだ焼き鳥とジンでやり過ごし、出かけた港はどこだったのだろうか。
(商港もしくは工業港といった感じだったのだが)
Hの愛車フォルクスワーゲン、柳鼠のビートルのフロントガラスが雨滴を弾き飛ばし着いた港。

夜明けに近い青渇色に沈む空の下、停泊する韓国船籍の船にひそり、と乗り込んだ。
愚かな20代は酔うとくだらないことを幾つもした。 小心ゆえちっぽけなことばかりなのだが。
無造作におろされたままの錆びの浮いた白い舷梯。
足音をしのばせデッキに上ると、やわらかな光のもれる船室の扉がすぐそこ、目の前にあった。
冷たい海の風に吹かれながら幻惑されるようにしばし呆然と佇んだ。
そして、どんな人生が中にあるのだろうと考えながら海に向かってした小便は潮風に吹きちぎられた。






3月15日 (火)

滑走路。離陸。
すさまじい馬力に身をゆだねる加速は、腹に幾重にも残響を留める大太鼓を感ずる気分にも似ている。
北海道。
大雪原ならぬ大雲原を抜けるともうそこは千歳市上空。
この歳にして初めて踏む地であることが感激だった。
街が、空港が、眼下に近づく。
この度の北海道旅行は今年11月の個展のため、画廊を訪ねるのが目的。
その画廊なのだが・・・。

難破船、遺棄船。
そんな錯覚すら覚える古色蒼然たる画廊は古民家を改装したものであって、そこに俺を含む3人は
現れぬ画廊主を待ち続けた。
約束日は今日。時間は定刻通り。
施錠もされていない玄関を入りすぐの部屋はカフェとなっており、カウンターにはコーヒーカップが凍てつき、底には茶色の
残滓が輪になっている。
吸いさしの煙草。小皿に残された菓子。ミルクピッチャーは固くへばりつく。
まるで「メアリー・セレスト号」だ。




inu.jpg

★ ギャラリー犬養

  3人は散り、庭、階上、など「船室」をさまよう、が、ひとの気配は無い。




「犬養氏」について話し合う我々のいる冷え切った暗い「カフェ」からは、溶けゆく残り雪が屋根からぽたりぽたりと滴るのが見える。
暗い屋内からはそれが見えるガラス窓だけテレビの画面のように明るい。
森閑。
電話、メールとも犬養氏からは応答なし・・・なし。
中井結さん。
今回の北海道は札幌「ギャラリー犬養」での個展をセッテインングしてくれたこの人以外俺もKも会ったこともない犬養氏とは
いったいどんなひとなのだろう。
まるで「ゴドーを待ちながら」だ。

謎はすべて謎のまま、我が画集と土産そして書き置きを残し、遺棄船ならぬ雪に埋もれた画廊をあとにした。

と、Kがいない。
振り向くと「待って~」と駆けてくるK。おお、なんだか芝居じみて出来過ぎなこの光景。

「ミルク&パフェ よつ葉ホワイトコージ 札幌パセオ店」に3人でゆく。
ここで今回世話になった中井さんと別れ、小樽へと向かう。
到着。
なだらかに下る広い道路の向こうに海がある。
倉庫街をぐるりと廻り、小樽漁港に着いたときにはすっかり暮れ、果てない海が静かに広がっている。
遠く遠く果てまで広がる暗い海だ。
近くには第一管区海上保安本部の庁舎が煌々と光を放っている。
さて、暗い海をあとにし、待望の鮨はKの情報による店。

店内に入るとテーブル席を案内されるがここはあえてカウンターの意思を表する。
すでに6人の客が座っているのだが少々萎縮してしまうような静けさなのはなぜだろうか。
昔のことだから今はどうかは判らぬが、東海林さだおの本で「小樽の鮨屋」について書かれた怖さがよみがえる。
とはいえ、旨い魚への期待で胸は高鳴るほどなのだが。



otttt.jpg

★ 東海林さだお 『行くぞ!冷麺探検隊』

   作家・北杜夫が実際に体験した小樽の鮨屋での具体的な事柄が書かれ
   それを確かめ(?)にゆくさまが、ちょっとはらはらしながら愉快に読める
   「小樽の夜」。
   気取りのないこの名文家のこの巻には他にも「正しいハワイ団体旅行」
   「寿司食べ放題バスツアー」 「うどん王国・讃岐」 「博多の夜の食べまくり」
   など、いつもながら目に見えるような描写が実に面白い。
   添えられた漫画家・東海林さだおの絵がまた、話しを愉快に盛り上げる。




お。
皆、握りの一人前を注文しているようだ。
値段表がこの店にはあるので安心・・とはいえ、なんと一貫400円以上が大半を占める。が、ここはあえてお好みで。
まあ、せっかくの小樽の夜。ましてや初めての小樽の鮨屋だ。覚悟しよう。
さっそく握ってもらう。
ひらめ、鯖、ソイ、八角、穴子、鮪、イカ。そしてイクラに雲丹。
宗八鰈というのを焼いてもらう。箸休めにはカニ酢、カニみそ。
酒はビールから入り、ハイボールそして日本酒は小樽の「北の誉」を熱めの燗で。
白身の魚というのは何種類もあるなか、どれがどれかわからない。
でも、いいんだ俺は。
うまいうまいって食ってりゃ幸せなんだ。

勘定は心配したほどには程遠く、味も旨く、握りがあまくほぐれやすい・・・ということを除けばまあ良店ではないだろうか。
さて、札幌に戻る。

次はKの大好きな店。
その極めて奇妙な店は「アイスクリーム屋」なのだが、「まさかここにアイスクリーム屋があるとは!」と思うほどの入口。

地下店内は座ると天井に手が届くほどのまさに穴倉、もしくは炭鉱の喫飯所と言っても過言ではなく、暗いテーブルに
詰め込まれる相席は気分の良いものではない。
待つ事10分、20分、30分・・・、どれほどの経過かはもはやわからぬ頃にそれは運ばれてきた。
パフェのグラスにはラムが沈み、匙ですくい口に入れるとそれは冷ややかな綿のように溶け、これは旨い!
粗雑な盛りとは裏腹にそのなめらかな口溶けと、玉子と牛乳をすなおに感じさせる濃厚さはまさに「有り難し」だ!

やっかいな注意事項の書き並べられた紙をそこここに張り巡らす風変りな店主の近寄りがたさではあるが、この口福
ならではの繁盛ぶりなのだな。

感激に浮かれついで、すすきのをさまよい、せっかくなのだから一人前だけでも食べようと入ったジンギスカンの店では
肩ロース、もも肉、羊のソーセージ、とこれもまた感激する旨さだった。(キムチは普通)

鉄兜で気前よく油を爆ぜながら焼ける肉を頬張る。
滴る肉脂で焼けるもやしとキャベツの旨いことよ。
気が付けばあっという間に客が埋め尽くしていた赤いカウンターが何とも記憶に鮮烈だ。






図録


3月28日 (月)

サントリー美術館へ宮川香山展を観にゆく。

その時代を鑑みれば宮川香山という作家の奇想ぶりに只々驚嘆。
近年鑑賞した芸術にこれほど衝撃されたこともまた無い。
とにかく初めて知ったこの作家の劇的とも言える過剰な装飾嗜好と、常識を飛びぬけた発想そして精緻な技術に
爽快なショックを受ける。
真実の職人魂、芸術魂を思い知る。
図録の購入も久しく無かったが迷わず購入。

こうざん3

★ 写真撮影が許可された展示室での写真。

こうざん

★ 高浮彫桜ニ群鳩大花瓶

こうざん2






〇  今月は連載記事、作品掲載の二誌が届いた。
   ひとつはアトリエサード刊 『エクストラート』
   もうひとつはピエブックス刊 『幻想耽美・Ⅱ』

   『エクストラート』では今回、アメリカのすばらしい女性画家
   ブランディ・ミルンさんのことを書いたのだが御本人から
   編集部に嬉しい挨拶が届き、こちらも実に嬉しく思う。
   赤く、濃密、それでいてあたたかな幻想少女画はキュート
   だが、作家本人の強力な生命力を感じずにはいられない。

ekusutora.jpg

たん

   『幻想耽美・Ⅱ』 はこれもまたすばらしい作家が数多く紹介
   されており、価格は少々高いが充実の大著である。







3月30日  (水)

niho.jpg


自動販売機を見に新潟までゆく。
まさしく昭和の生き残りを見にゆく。
寝台列車。
食堂車。
大手機械メーカー以外の自販機。
長い歴史を持つ喫茶店。
そういったものが次々目の前から消え失せてゆく。あたらしいテクノロジーや、効率化、合理化のためだけにすべてが
画一化(しかも恐ろしい速度をもって)の様相を呈しているのにつくづく疲れる毎日が続く。
それらについてゆけるひとたちがうらやましいよ。
そんななかKが教えてくれた新潟県にある「公楽園」に行った。




外観

★ 写真は雨のあがった翌日の公楽園。
   今回は街道側の和室だったがいつか洋室、それも田圃に面した特別室に泊まってみたい。




聞けば昭和53年にできたここは、自販機コーナー、ゲームコーナーを備えたモーテルのような宿泊施設であって田圃の
地平が見えるような只中に建っている。
その佇まいはまさしく昭和を乗り越えた威容である。
高速を飛ばすこと3時間。
あたりは闇に包まれ始め、車が激しい雨に叩かれ始めたころ到着。

さあ、中に入ってみよう。
おお、はたしてそれは立派にあった 「トーストサンド」の自動販売機!
ここで頭の中に鈴木慶一の「自動販売機の中のオフィーリア」が流れた。




トースト

toto.jpg

★  ハム一枚がぺろんと、マーガリンの塗られた食パンにはさまれただけ。
   それなのにどうしておいしいのか。
   いつ果てるかも知れぬ、「時代の遺物」が作ってくれた・・、というありがたみもあるかもしれない。
   「部品が無くなればそこでおしまい・・」、と、翌日、話し好きでひとの良い御主人が話してくれました。




丸みを帯びた今の販売機とは異なり、無骨な鉄の塊といった趣のそれは、それでも明るく輝いている。
お金(250円)を投入し、ボタンを押すと「トースト中」という期待感溢れる点滅をはじめ、やがて商品口に出てきた。
アルミホイルに包まれたそれはとっても熱い。
もどかしく開けると湯気のたつようなトーストが現れた。
待望のひとくち。旨い!が、それはトーストされた食パンを再加熱するためフレンチトーストのような食感だ。
だが、これはもはや別物の旨さだよな。
ハムトースト、チーズトーストの両方を買い、持ち込みのビールで、やる。
残念ながらうどん、そば、ラーメンの販売機は最近になって修復不可能(部品がないため)により、その長年の役目を終え
退役したそうだ。

さあ、今夜の宿はここの二階だ。
廊下を突き当り、九畳の和室に入りその昭和臭に卒倒しそうになる。
それは激烈な郷愁による一時的なタイムスリップとも言えた。
まさしく子供の頃の親子旅行で随分味わったものであって、この空間自体が昭和から時を経ていない証だ。
部屋、トイレ、風呂も長年、時に晒され、人に晒され、「ひと焼け、時焼け」してはいるものの、くまなく清潔にされているのに
感心した。
布団もシーツも枕カバーも清潔である。




☆ ホテル 「公楽園」

廊下

部屋

洗面所

★ 上から「公楽園」の廊下、和室、洗面所。
   昭和の旅館、ホテルその他公共施設の造作とはこういったものだった・・、とつくづく思い返す。
   いいかわるいかは別だ。好きか嫌いかだけなのだ。
   ただ、湯島のすき焼き屋、鶯谷の豆腐料理屋で感じた数少ない昭和を強烈にここでも体感
   できたことは貴重かつ実に嬉しいことだった。
 



さあ、近所に飲みに行こう。
街道沿いにあるこの「公楽園」だが、先にも書いたようにあたりは田圃以外殆ど何も無い。が、「ひゃくてん」という店がある。
ここは居酒屋と食堂を合わせたような感じ。地元の人々がさまざまな目的で使うのだろう。
料理も豊富で和食、洋食、中華と殆ど網羅している。しかも平均以上の美味しさに我々は驚く。
有頭の大海老のフライは立てる歯にさっくりと心地よく、舌を焼く揚げたての熱さ、そしてぶつりと歯切れも良い。
新鮮な刺身も熱めの燗酒によく合う。
しばらくすると入ってきた地元のおじさんがカウンターですするラーメンが妙に羨ましい。


翌日、大きな浴場でゆったりと湯に浸かった。
ここは「公楽園」ではない。
「ひゃくてん」の気の良いお姐さんに聞いた「きんぱちの湯」という宿泊施設で場所は寺泊。
日本海を眼前に臨む絶好の地にあるため、眺望は抜群であった。
広い食事処も海に面する全面がガラス窓で、明けても暮れても海原を楽しめる。
楽しめるが車なので酒は飲めない。だから楽しめない。
もう来ることができないかもしれない。
だから泊まることにする。夜、飲もう。
猫にはもう一晩先生のところで我慢してもらおう。




☆ 寺泊 「きんぱちの湯」

きんぱ

★ 三階の部屋から望む日本海。
   春とはいえ、窓からは熱いほどの陽がそそぐ。



Kの運転で無人の神社、そして港へゆく。
陽も暮れかかる港は「港湾関係者以外立ち入り禁止」とあるが、隣の汽船乗り場と公園の境があいまいなので
入ってみる。ひとは4,5人おり、釣りをする父子もいる。
イカ釣り漁船が数隻、停泊している。どれも小型船だが間近に見るのは初めてだ。
夕暮れに、たゆたうそれらはどれも無人。
日本海ならなんだろうか。スルメイカかな・・。
一列に吊るされた集魚灯。
暗い海でいっせいに灯され輝くのはさぞかし美しいだろう。
のぞき込むと操舵室にはいろいろあるなあ。各種電子機器、酒瓶(地酒の菊水だった)そして神棚。
昔の千葉を思い出し、つい足を踏み出しデッキに乗り込みそうになった。が、やめた。
酔っぱらってないからだ。それに静かに冷えがからだを包み始めてきた。宿へ帰ろう。


翌日。帰路。
関越自動車道。

ルームミラーに唐突に赤い回転灯が映り出た。
覚えがない追走をされているようだ。だが、とっさにアルコール検査器を使われることを危うんだ。
もちろん今日なんざ飲んじゃいない。前日のものが出ないとも限らないと思ったからだ。
高速道路交通警察隊の車について高速を降りるよう誘導される。
「パトカーについてきてください」
「車」のリアガラスにつけられた電光掲示板にそう指示が点滅する。

運がわるい。これで三度目だ。今度は「法定通行帯外通行」と「法定速度違反」だった。
反則金6,000円。
「期日以内に納めていただけないとここ(群馬)まで出頭頂くことになりますのでご注意下さいね」
運がわるい。
ストップメーターに速度が表示されている。
30キロオーバーを告げられたのだが、なぜかこれは今回大目に見てくれた・・。
非は認めるが、公平ではない(他の車をくまなく取り締まりをしていないということ)ことに抗議するも
違反は覆るものではない。
まあ、無事帰れたので今回の旅はよかったと思おう。
とにかく充実の3日だったことをふたりで喜ぶ。





アイちゃんの家の海老フライ



ちあ

★ 秩父の喫茶店 「千茶古」 (ちゃこ) 店内から眺めた庭をKが撮る。
   




秩父からの帰路は非常に暗く、しかも路面脇には残り雪が凍てついているため緊張を強いられる。
片側一車線(しかも対向車線側向こうは夜闇にまぎれた底知れぬ崖)のため追い越しは非常に危険をともなう。
我々の帰路は八時を回っていた。
極めて少ない、先ゆく車のテールランプは提灯火のように見える。

皆、後続車に追われるように速度を上げるように見える。
追い越しのできない道ゆえにあおられているように感じるからだろう・・・。

今、先行車はいない。
と、闇を映すルームミラーにまばゆい光が入り込んでくる。
後続の車。それも相当な速度だ。
先も書いたようにとにかく暗い。片や断崖は底が知れぬ。隣にはkが眠る。

山岳路で先行車にこれほど接近するとは。
動体視力はわりと良いほうと思うが、この夜闇の山路だ。
ヘッドライトに浮かび出される凍てついた山肌をかすめるように走り、無事、帰り着くことができるのだろうかと思いながらも三度、追随のヘッドライトを引き離し、振り切れた。
かつてОに仕込まれた、というか実地で味わわされた運転を何十年ぶりかに、した。というか強いられた。
(ここでОのことには触れないが)

市街地に入りコンビニの駐車場に車を入れると追随が猛烈なスピードで走り去る。
車種は判らぬがエアロパーツを付けたブルー。
車での夜の秩父路はもう御免。


11月の北海道個展の制作、アトリエサードのための記事、制作、勉強、バドミントン、サイクリング、深夜の映画会。
そんな合間の秩父再訪は特急レッドアロー。


セメント

★ 武甲山近くのプラント。






2月4日 (木)


ピエ・ブックスより3月発売の「幻想耽美Ⅱ」の校正届く。
提出した作品数からセレクトされたものが思ったより少ないのは、まあ仕方がない。
しかし、今年は何か新規な試みをしたい。それは売るためのというより、制作での新鮮な高揚感を得たい。
無論金は欲しいがそれ以上に、続きをする楽しさを味わえる新たな創作を望む。

正午前。
スクランブルエッグとベーコン、レタスときゅうりのサラダ(鶏だしドレッシングを作り、それで和えたもの)
クロワッサンそしてコーヒーの遅い朝食をゆっくり食べる。
前夜作った餃子の挽き肉が少々残っていたので玉子料理に入れてみたところ、これがなんと存外旨い。
彩りとしてはパセリパウダーを。
バドミントン二時間ほどする。





shide.gif

★ FROM THE MOUTH OF THE SUN 『WOVEN TIDE』  

「君が代」を彷彿させる荘厳な曲が印象的なダーク・アンビエントのアルバム。
チェロ、ギターを多用し、室内楽集のようでもある。
chris-koelle (画家、版画家)の手によるアートワークがジャケット、盤面と美しく
総合的に極めて良質な一枚。
夜更けの愛聴盤の一枚。


aura.gif

★ フエンテス短編集 『アウラ・純な魂』 岩波文庫 

「目に見えるようだ」
優れた小説に対するこの賛辞は志賀直哉だが、相違なく、視覚的イメージを強く
送り込んでくる文章というのがある。 メキシコの作家、フエンテスのこの作品集
中でも表題作「アウラ」はそうしたものの顕著な一作。

映画のごとく映像がまざまざと浮かび、この不気味な一遍は読む者の脳裏に明
らかなイメージを湧きあがらせるだろう。それは視覚のみならず臭覚や聴覚と
いった五感にまで訴えてくるというのは言葉過ぎるだろうか・・・。
怪奇、幻想といった類の小説、日本では平井呈一の名作「真夜中の檻」で同様
な読書体験を味わったことを思い出した。





2月24日 (水)

あいちん


アイちゃんがサーカスの火の輪くぐりのようなジャンプで椅子からテーブルへと跳び、カウンター向こうの座敷に消えると
運ばれてきた海老フライに目を瞠った。
香ばしい誘惑に思わず尾をつまみあげ、頬ばる。
旨い。実に。
目を瞠った。
ずるりと脱げ落ちてしまうような分厚な衣のフライかと思いきや、極めて薄くカラリと揚がった衣をまとった海老はまさに
上等なフライだった。


えび


★ こんな「上等」は食べた記憶もないほどの香ばしさ甘さそして熱い歯ごたえ。
  店主の心馳を感じる付け合わせの果物がなんとも嬉しい。


ぱり


ここはその名も「パリー食堂」
その風格ある威容とそのたたずまいの古色蒼然はわれわれを放ってはおかなかった。
褪せた食品サンプルはそのガラスケースの中で永遠に時を止め、のぞき込む自分の顔すら過去のひとのように映った。

ビールを頼むとまずはじめに出たのは大根と人参の煮物だったのだが、寒さにかじかんだ我々の舌と胃袋をなだめるに
十分過ぎるおいしさであった。
それは鰹出汁で丁寧に煮つけられたもので、変哲のないこの一品がこれほど我々を悦ばせてくれるものとは・・。
今日はおじいさん(名は知らぬ。パリーの主人)とその友人たちの集いがここであり、おいしそうなすき焼き鍋が卓上に
支度されている。

ビール大瓶を分け合い、俺は秩父錦の熱燗2合。
料理はkはソースかつ丼。
「上等」のほか、ニラレバ炒め(これもごく普通のものだったが、その普通が普通の旨さではない)をふたりでつまむ。
気が付くとアイちゃんが階段上の隙間からちいさな丸顔を突き出しこちらを見下ろしていた。


あい

★ アイちゃんは御主人にしかなつかないおばあさん猫。
   幾つになるのかはわからない。
   (今回、アイちゃんと海老フライはKが撮ったものから抜粋)






ボウガンとポルノ


12606713_536013326565792_17.gif

1月28日(水)


日暮れて都心に向かう冬の特急車内はさびしい。
だが、そういうのが好きだ。
郵便受けにアトリエサードから送られてきた最新号を出がけに確認しているので帰宅後も楽しみ。
新年初めて、そのアトリエサード鈴木編集長と呑む。

新宿。
猥雑、混沌、臭気漂う胡乱な人間のひしめく裏通り、 高校時代とまるで変わるところがない。

80年代、そんな混沌の錯綜する大通りに銃砲店があったことなど今のひとたちには想像もつかないだろう。
俺はそんな大通り近くの劇場で観た「マッドマックス2」に今思えば幼稚な触発をされ、ここで木製の重たいボウガンを買ったことを覚えている。
36,000円くらいだっただろうか・・・。
それは無骨で飾り気のない、とは言え、この重さでは実用性も甚だ疑問なボウガン。
アルミ製の矢は冷たく凶悪で、矢をつがえ引き金を引くときの高揚感も冷たく暗いものだった。
電話帳2冊をブリキの菓子缶にガムテープで留めたもの、それが標的であった。

今は絶滅寸前のポルノ映画館もなんともなつかしい。
土曜昼下がり4,5人で、制服の上は脱いでくれとチケット売り場のお姉さんに言われ入った映画は日活ロマンポルノの名作
 「後から前から」だったのもなつかしいが、成人映画に高校生が入れたのは寛容というほかない。
(主演の畑中葉子はなんと紅白にも出場した歌手でありポルノ女優でもある)

Sは上映後腹痛を催したが館内のトイレには入らず足早に出て行った。
「オナニーすると思われるのがいやだったから」
というのが我々の一致するところの意見で笑ったものだったが。
本当は当然皆したかったのだ。

寛容といえば池袋東口、地下映画館「日勝地下」ではゾンビ映画とポルノの二本立てを観た。(ゾンビとポルノの二本立て
というのも凄いが、カッコイイと言えばカッコイイ)

制服、制帽そして学生鞄。
何もとがめられることなく、またそれを知らずに唐突にはじまったアメリカンポルノのタイトルは「ポルノエキス・迫る女」というもの。
擦り切れた赤いベルベットの座席、床にはあきらかに精液が幾重にも汚らしくこびりつき乾き、おぞ気だったが、ポルノが始まれば制服のズボンポケットの中に手を入れ、そんな汚らしい仲間に入ってゆく快感を感じたものだった。
上映後の冷めやらぬ興奮を「切れ端」でもよいから持ち帰りたく、帰りしな無人の廊下に掲示されていたタイムテーブル
(当時は手書き)
をくすねた。
「サンゲリア」「ポルノエキス・迫る女」の。

と、まあこんなことを思い出しながら結局は今宵の呑みも実に楽しく、二軒目に合流したkとともに帰る。

とにかく夜に向かう街が好きであり、この小心者の俺だがそんな夜にまぎれて呑む酒はいつも最高なのだ。
さて、今月もそんな日記の抜粋を。

(写真は東京で好きな街のひとつ神田、湯島の老舗のおでん屋。мが撮ったものを拝借。何度訪れても味含めすべての
最上が味わえる稀有な店)


 
1月3日 (日)


感慨無く新年を迎えるのはいつものことだが今年もやはりそうだった。
正月が楽しいのは子供時分だけ。お年玉がもらえたから。
今はコンビニ、デパートは元旦から営業、年明けの風情もへったくれもない。
近くの寺でいちにち中参拝客に衝かれるへたくそな鐘の音でうんざりする。
年末年始も不慣れな原稿書き、11月の北海道個展のための制作、酒。

今日はSが来る。ひさしぶりにすき焼きをする日。
Sはこの3日からすでに仕事で、日も暮れてから奇態だが例のイカス車で来る。
酒宴の酒、食材もいつもこの車に乗り込み買い物にゆくのだが「羨ましい」
そこここにSのオリジナル装備がなされ、車内というより「部屋」といった趣。

深夜、例の如くコンビニまで(風情がないなどと言ったことは忘れた)アイスクリームを買いに。
で、ついでに、このコンビニから来た年賀はがき持参。
持ってゆくとホットコーヒーを一杯ごちそうしてくれるのだった。
Sと一杯のコーヒーを回し飲み帰る。




P1020981.gif

☆ 浜田マロン 『成熟のマーブル』

   骨格のふとい歌声はこのジャケ写真からは想像がつかない。
   「艶」と「渋さ」を併せ持った彼女の熱のこもった歌いっぷりが
   すばらしく、一分の隙も無い完成度100%超のアルバム。
   



1月15日 (金)


始める前はこの寒空で飲むわけないだろうと思うミネラルウォーターが実にうまい。
例のムーミンの庭(駐車場。無人、車も一台も無し)でkとバドミントンを一時間半ほど。
初めの頃と比べ息も相当持つようになった。三年前、Aと打ち合っていた頃よりも調子も良い。
とはいえ遊びの域を出るほどのものではないのだが要は楽しいか否かだ。
シャトルが見えづらくなったところでおしまいにする。

ジム、卓球場、武道場、など様々な体育施設の入った建物内は広く、この時間になるとあまり利用者もいない。
自販機コーナーであたたかいカップコーヒーを出しロビーでくつろぐ。

夜9時半からの「スター・ウォーズ」まではまだまだ時間があるため、カップのワンタンとおにぎりをひとつづつ食べ、少々寝る。

車で10分もかからないこのシネコンに来たのは初めてなのだが入ってみて本当にシネコンとして何ら遜色無しの立派な内部に少々感激する。
(普段、買い物に来ている近所にこんなところがあるのが意外なのだった)

4d、3d、2d、2d吹き替え、と4スクリーンの選択ができるのだが
我々はあえて2dを選ぶ。なんと入場者は2、30人。始終静寂に包まれゆったりと観ることができた。
一作ごとリアルタイムで追い、楽しんできた者としては往年のキャラクターとジョン・ウイリアムズの曲がなければ「s・w」とはどこか違うような気さえした。何十年にも渡る制作では変貌しないわけもないのだが・・。
しかし、ゆったりと味わえた深夜、近所のシネコンでの「映画」が楽しくないわけはない。
貴重な一夜だった。


P1020978.gif

☆ コーエン兄弟 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』

  あまりコーエン兄弟らしくない作品。
  『バートン・フィンク』 『ビッグリボウスキ』 『バーバー』『ノーカントリー』
  など奇妙な人物のたくさん出てくるものを期待したのだが、ちょっと
  その点では残念。しかしこの兄弟の映画は二度目、三度目に良さが
  じわりとやってくるので二度目の鑑賞に期待する。
 
P1020984.gif

☆ 古井由吉 『山躁賦』

   比叡、高野の神社仏閣をめぐる男は病み上がり。
   の、ためなのか時間感覚の喪失したかのような描写が別世界との行き来を
   思わせる。それはまるで霊魂が如くの異様とすら思える彷徨だ。
   一読では把握、理解ができなかった。
   再読を繰り返し味の湧出する小説。これは俺にとって文学の財産とも言える。





1月24日 (日)

二十五、六年も前の寒い日。
したたか酔っぱらって友達と別れたあと、愛用していた東池袋のビジネスホテルにひとり泊まった。
部屋で、買ってきたロング缶のビールを開け、飲んだが半分は残し窓からふらふら街に彷徨い出た。
(このホテル一階の窓外は車一台停まれる屋内駐車スペースがあり、窓から出入りができた)

入った雑居ビル最上階はボーリング場だったのだが、それは知らずしてなぜそのビル、ましてや最上階まで階段で登ったのかは今となっては理由も判らず。
白い大きな鉄扉を開いたらそこは営業も今しがた終え、照明も落とされたボーリング場だったのだ。
少し離れた場内入口扉付近はそこだけぽっかりと明るく、何人か(従業員か客かも記憶にない)がいた。
とにかく酔っぱらっていたので手近にあったボールをつかむと躊躇無く一投した。
すぐ追い出された。

そんなことを思い出したのは今日初めてボーリングに行ったから。
51年生きていて初めての経験というのもどうかとは思うが。
かつての「一投」のレーンは無人だったが今日も無人。
ゲームを楽しむのは我々ふたりで、違うのは煌々とした照明のもとということ。今日は営業時間内である。
無論金も払った(2ゲームともkが出してくれた) よって追い出されない。
しかし日曜の夜22時をまわったところはこんなものなのかな。
楽しい。









2015年最後の月


muu.gif


        飯能市・あけぼの子どもの森公園 <ムーミンの家>





・・・今月つくった料理・・・ひと月にこれほど料理したのは初めてのことかもしれない。
               たいした自信はないが、上手になりたいと思っているもののひとつが料理。

◯ 牡蠣とパルメザンチーズのスパゲッティ
◯ 牡蠣蕎麦
◯ 牡蠣湯麺
◯ 辛口きんぴら牛蒡(大蒜醤油、かんずり少々、蜂蜜、白胡麻)
◯ 海老炒飯
◯ 鱈のムニエル
◯ トマト鍋、トマトリゾット
◯ タッカンマリ (韓国の鶏鍋を藤井恵先生が簡略、洗練させたレシピで)
◯ ほうれん草とカッテージチーズのラビオリ(クリームソース煮)
◯ サーモンのクリーム煮
◯ 帆立の焼売 (蒸し器を使ったのは久しぶり)
◯ 玉子とわかめのスープ
◯ 魚肉ソーセージとじゃこ、ピーマンの炒め物
◯ グリーンサラダ(レタス、きゅうり、ミニトマト)
◯ 玉ねぎとアボカドの醤油ドレッシングのサラダ
◯ おでん(がんも、厚揚げ、竹輪、こんにゃくが半額品だったため)
◯ 高野豆腐と大根の煮物
◯ 栃尾揚げの網焼き(焼いて醤油、削り節、葱、青のりをかけただけなので料理とは言えないが)
◯ 豚ロース自家製醤油だれ焼き (大蒜醤油、野菜コンソメ、蜂蜜、レモスコなどをミックスしたソース)
◯ 蓮根としめじの味噌汁
◯ 豚汁
◯ 鰈の煮付け
◯ 厚揚げと大根の煮物
◯ 焼き蓮根のカレー風味
◯ キャベツと三つ葉のサラダ
◯ 三つ葉とじゃこ、油揚げの和え物
◯ ズッキーニと油揚げの味噌汁
◯ 人参とインゲンのグラッセ
◯ マッシュポテト
◯ スイートポテト
◯ プレーンオムレツ





12月4日 (木)

極上の晴天。
3年ぶりにバドミントンをした。
飯能市「あけぼの子どもの森公園」は、トーベ・ヤンソンの「ムーミンの家」があるところなのだが
過去来たのはいずれも日没近い時間だったせいか、訪れる人は皆無だった。

平日午前にも関わらずいつもはなかなか多い来訪者というのは、今日来て判ったこと。

風で降り注ぐ枯れ葉の中、ハイキングコース入口付近をしばらく歩いた。
しかし、ここはカメラを片手にしたひとりの男以外、行き交うひともいない。
体育館裏手にある、こちらもかなり広い駐車場は2台の車のみで人もおらず。
ここでラケットを出すことにした。

シャトルがしばしば流されてしまうくらいの風はあるけれども久々のバドミントンは楽しく
1時間以上かなりの汗をかかせてくれた。
晴天でも寒空。
その中、自販機で買った水が旨い。

しかし、ブランクは否応なしに体力の衰えを感じさせずにはおれず、息が切れるたびに小休止。
だが、kは若いだけあって呼吸もほぼ乱れずだった。
俺が休んでる間、壁打ちをしている。
しかも彼女は今日、テニスのラケットで打ってるのだ。
(我が家にはバドミントンのラケットひとつとテニスのラケットひとつしかないため)

その後、近くのホームセンターでソフトクリームを食べたのだがこれもまた数年ぶりで頗る旨い。
昼食にと、たこ焼きを買い帰る。


P1020952.gif


☆  今は無き「創樹社」からの三浦清宏・著『宇宙の旅人』
   文学者であり、心霊研究でも名を馳せたひとで『イギリスの霧の中へ』
   は英国での自らの体験、取材を通した飽きさせぬ物語的展開もおもしろく
   非常に興味深い内容の散りばめられた名著だ。
   (真偽のほどはさて置き)
   
   本書『宇宙の旅人』は短編小説集なのだが、名状しがたい魅力のある
   名編が幾つかある。
   「地下室の夢」「父と電線」「ボブ・チン・レストラン」などは幾度も読み返した。
   この冬も。

   野中ユリの装丁原画も美しく、いつまでも手元に残しておきたい一冊。





15日(火)

ピエ・ブックス編集部のひと来宅。
来年3月発売の「幻想耽美・2」に掲載される作品、15点を取りに来られたのだが、ひとりは若く美しいひとで
そんなひとの口から「エロ」とか「春画」とか「性行為」とか出て興奮するなあ。

さて、この本だが海外でも販売されるのでバイリンガル仕様とのこと。楽しみ。
駅まで二人を送ると、布団を干し、洗濯。ボールペン画の制作続き。
残すところ3cm四方というゴールが見え始めると制作はきつくなってくるのが毎度のことだが、紙面を埋め尽くした時
の達成感をはやく味わいたいものだ。

夜はkと呑みに出る。
3年ぶりに封印を解除した「リコ」へ。
イタリアン・バルのこの店は安く旨い。
真鯛のカルパッチョ、小海老のアヒージョ、マルゲリータ・・・、
いずれも懐かしいここの旨さは健在。
同じく「封印」であった「翠風」に先日kを連れて行ったのだが、その話しが出、次いで行くことにした。

「リコ」「翠風」は俺の大好きな店であって、ここに来れるようになった嬉しさは一入なのだった。

「洒落た穴倉」といった趣の店内であり、落ち着くのは程よい照明の加減と色合いによるところがおおきい。
先日、食べられなかったアイスの串揚げをkはさっそく頼む。
うっすらと求肥に包まれからっと揚げられたそれはなかなか旨そう。

吞み屋はカウンター席がいちばん旨い呑み方と信じる、ということを以前も書いたが、鮨は言うに及ばず
串揚げ、焼き鳥、もつ焼きはカウンターが別格なことをあらためて感じる今日だった。
特急終電は間近。

P1020938.gif




☆  マーティン・スコセッシ監督85年の映画『アフターアワーズ』

   あるライターが卒業制作で書いたシナリオを映画化したものなのだが
   ジャンルを越え、気に入りの十本に入る名作。
   ニューヨークのある地区からどうしても脱出(家に帰ることができない)
   できない男の一夜の話し。
   これが、もどかしいほど焦り、そして悪夢のような狂気、そんなものが
   渦巻き、目を離すことができない。
   
   主演はこれもまた名作であること疑い無しである『狼男アメリカン』
   (ジョン・ランディス監督)のゾンビ状の幽霊であるジャックを演じた
   グリフィン・ダン。
   さて、長くなったが本CDはその『アフターアワーズ』のサントラと言って
   もよいだろう。収録されているのは他に使われなかった未発表の映画
   音楽らしい。通して聞いても統一感あるこの一枚はとても心地よい。
   ハワード・ショアはデヴィッド・クローネンバーグの映画音楽でも
   有名な作曲家。



   

12月17日(木)

指折り数えて・・、とまではいかずとも楽しみにしていた「Mのサロンの忘年会」が今日。
それはあっというまに本年の終わり月も半ばを越えたということであって、これはあまり嬉しくは無い。

種々雑多の家事を済ませ、着替えると早や17時を回っている。
そんな切羽詰まった時に限って電話がかかってくる。
画家の森口君からだ。
(来年早々の香港での個展のため、今、彼は修羅場だ。制作も遅れており参加したかった今日の忘年会を迷い中とのこと)

会は盛況で卓上の酒、肴ともにさすがのMの品揃えだけあり、旨いもの尽くしである。
一角の卓を画家の恒松正敏さんと立体作家の菊池拓史さんとともに占め、テーブルから調達してきた鮨を食べたのだが
この鮨が滅法旨く、種々呑んだ酒がどれほどの量かは未だわからず。

終宴も近く、恒松、種村、菊地さんなどで餃子を食べに行くことになったのだが目当ての店は仕舞い、そうこうしているうちに
時間がない。
ので、帰ることになったが惜しい。
「HUB」でkとビールを飲んで終電特急。



12月22日(火)

帰宅後、酒を飲み始め、メールの確認をしていたらアトリエサードでのインタビューの日が今日であることに気づき
酒を切り上げ出かける。
⒈時間ほど遅れたが無事収録は終わり、鈴木編集長と呑みに出る。
しばしばゆく串揚げの「えいちゃん」そして橋向こうの「海と」
馬場ではまずこの二店が我々のお定まりの店なのだが、両店ともに編集長に連れて行かれ、大いに気に入りの店となった。

P1020941.gif





☆ ウラジミール・ヴィソツキー
   ロシアの俳優でありシンガーソングライターであり、42歳で亡くなった・・・
   というほか殆ど何も知らぬまま愛聴の一枚。
   激烈な声。
   そしてなんと美しい詩か。
  



12月28日(月)

銀座・スパンアートギャラリーでの忘年会はひとり一品の持ち寄りで18時から。
川越銘菓のスイートポテトは実に旨い。これを手にkと銀座へ。
驚いたことに集まった客は殆どが女性で殆どが人形作家であった。
うち、四人と名刺交換をし、話し、後、鈴木さん、菊地さんと話し呑んだが彼らは数少ない男。
時間はあっという間に過ぎ名残惜しいが九時となる。

この後、kと「v」で呑むため、ふたりで画廊をあとにする際,オーナーの種村さん、作家の森馨さんに引き留められる。
ふたりとも酔っ払いだ。
だが、こうも御機嫌の酔っ払いは楽しい。楽しい酔っ払いを見るのは嬉しい。
特に森さんは飲むといつも御機嫌の酔っ払いだ。本当に素敵なひとだな。



そうこうあって予約の「v」に15分遅刻。
狭い店ではあるがここは連日隈なくの盛況ぶり、居酒屋のけたたましさも無く60デシベルほどを保っているところも尚よい。
今まで何人のひととここで呑んだか・・・、しかし今日ほど酒も時間も旨いと感じたことはなかった。
今日いちばんの最安値の赤ワインを店のひとに聞き、ボトルで頼む。

串焼きの「穴子」がことのほか旨い。焼きたての熱い脂を皿にしたたらせ、齧る。
舌を焼く熱さと程よい塩加減。旨い。実に旨い。

P1020943.gif



 ☆ 先日届いた「エクストラ・アート」
   表紙は中村キクさん。
   繊細さに磨きがかかったように思える。
   旺盛な制作を続けているようだ。


プロフィール

kiemqu

Author:kiemqu
西牧徹/黒戯画世界

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。